土地の境界問題とは?司法書士による境界確定訴訟、筆界特定手続等について解説

今回は、土地の境界問題と司法書士による境界確定訴訟、筆界特定手続について解説します。

土地の境界問題とは

寝た子を起こす境界問題

土地の境界がどうなっているのか、普段生活しているとあまり気にすることはありませんが、実は、お隣さんの家が自分の土地に越境して建築されているという可能性は低くありません。

もちろん、自分の家がお隣さんの土地に越境している可能性も同じくあります。

日常生活を送る上では、そういった境界問題は顕在化することはほとんどありません。

 

しかし、土地の売却や分筆などをするために境界確定をする必要が生じた場合に、境界問題が顕在化することとなります。

他には、道路や堤防などの公共事業のために境界確定をする必要が生じたり、国の政策で国土調査などが入り地図の整備のための境界確定を行う場合にも、やはり境界問題が顕在化します。

 

土地の境界の種類

土地の境界と言っても、実は複数の種類があり、争いとなっているのが何の境界なのか、的確に判断する必要があります。

 

●筆界・・・不動産登記上の境界です。法務局備え付けの公図や地積測量図によって復元することとなります。分筆というのは、この筆界を切っています。

●所有権界・・・所有権の境界になります。通常、筆界と所有権界は一致するものですが、ずれている場合もあり注意が必要です。

●占有権界・・・占有(所持)の境界になります。土地を時効取得する場合の範囲の確定において重要なものとなります。

 

境界確定の方法

公図について

土地の境界のうち筆界というのは、当事者間の合意によっては動かず、客観的にはその位置が元来定まっているという性質のものとなります。

明治時代の地租改正の際に作成された公図が原始筆界を定めているため、法務局の公図は極めて重要な資料となります。

しかし、公図は図面としての精度は低く、境界確定においては土地の形状、接し方、並び方などを参考にすることしかできません。

 

境界立会の必要性

そのため、重要となるのが、当事者間の境界立会となります。

隣接当事者が立会をして、お互いに境界の位置を確認していることは、境界が定まっているとの重要な証拠の一つ(人証)となるからです。

ただし、単に合意さえできれば境界が決まるものでもありませんので、現地の構造物の位置や建築年数(古さ)などから客観的に判断する必要もあります。

 

地積測量図の重要性

境界確定においては法務局に地積測量図が備え付けられているかどうかも極めて重要となります。

年代が古い地積測量図は平板測量や三斜で作成されているため、精度が低く現地復元性が低いものもあります。

しかし、座標値を持っている精度の高い地積測量図がある場合は、現地にミリ単位で境界を復元することができますので、境界問題が生じるリスクは極めて小さくなりますし、境界立会を省略することもできる場合があります。

 

境界訴訟と筆界特定制度~司法書士による対応~

境界訴訟、筆界特定

土地の分筆や地積更正などのために境界確定をして登記申請をするのは土地家屋調査士の専門分野となります。

通常、調査士が主導して境界立会をすれば、ほとんどの場合境界は確定していきます。

しかし、残念ながら境界を巡って紛争となる場合があります。

 

紛争となった場合は、裁判所に訴訟又は調停を提起する方法があります。

また、紛争となっている境界が筆界の場合は、法務局による筆界特定の制度を利用する方法もあります。

筆界特定は、存在する既存の様々な資料を法務局の筆界特定登記官が収集し、客観的に筆界の位置を割り出す制度になります。

ただし、筆界特定は裁判ではないため、終局的な紛争解決は裁判に委ねられることとなりますが、筆界特定の結果を覆すのは相当ハードルが高くなります。

 

司法書士による訴訟対応、筆界特定手続

司法書士には、訴額140万円以下の訴訟に関して、当事者を代理して交渉、出廷、調停などの訴訟手続きを行うことができます。

つまり、境界紛争により、どちらの土地か分からなくなっている範囲の土地の価格が140万円以下であれば、司法書士は代理人として紛争に関与できます。

※筆界特定手続の場合は、隣接する土地の価格の合計額が5,600万円以内であれば、代理申請することができます。

 

紛争の価格が140万円を超えている場合は、書類作成による本人訴訟支援、又は本人による筆界特定手続の書面作成支援をすることが可能です。

なお、所有権界が問題となる場合は、所有権確認訴訟や時効取得、登記移転請求訴訟などが必要となる場合もありますので、詳しくは弊所司法書士にお尋ねください。

 

弊所の代表司法書士は、国土交通省四国地方整備局で、公共事業のための多数の境界立会や用地測量の監督を経験しているため、境界問題の知識と経験があります。

ただし、境界の専門家である土地家屋調査士と共同して問題の解決に当たる必要がある場合も多いでしょう。

 

境界訴訟や筆界特定申請については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。

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