今回は、本人訴訟支援業務における司法書士の法律判断の限界について、レジュメ形式で解説します。(2023.11.5更新しました)
このページの目次
5号相談と7号相談
5号相談とは
登記手続きの代理や裁判書類の作成等の事務についての相談であり、依頼者の依頼の趣旨に沿って適切な書類を作成すること等のために必要な範囲内の相談である。通常は、依頼者の依頼内容を法律的に整序するための相談がこれに当たるものと考えられる(注釈司法書士法P54)
広義の法律相談であり、その相談は裁判書類作成関係業務に関する相談という性質上、代理権の授与を想定しない(前提としない)相談である。・・・書類(文書)によって行為(訴訟行為等)がされる場合の意思決定の主体は依頼者(相談者)本人である。・・・司法書士は、・・法律専門的知識および法律判断に基づく見解を示すことができる(司法書士の職責として、適切な専門的情報を提供することを要する。)
ただし、その提示はあくまで、最終的に相談者(依頼者)が理解し、意思決定するための判断材料・判断資料等の提供であって、司法書士が「相談者の意思決定」に積極的に関与し、事実上、相談者(依頼者)に代わって意思決定してしまうような相談は、5号相談の範囲を超える(司法書士裁判実務体系1職務編P286、287。ただし使命規定創設以前)
5号相談は、受任前提の相談の場合もあれば、依頼を前提としない相談(「独立相談業務」と定義しておく)もあると考えられる(再考司法書士の訴訟実務P40)
7号相談とは
いわゆる法律相談。本号の相談は、(司法書士の業務範囲の)簡易裁判所の訴訟の対象となり得る民事紛争についての相談であるから、手続的な法律問題に限らず、実体法上の法律事項についても、法的手段や法律解釈を示しながら、行うことになると考えられる。(注釈司法書士法P128)
※注釈司法書士は、法務省の公式見解ではない。日司連の公式見解は、「司法書士裁判実務体系」と「再考司法書士の訴訟実務」
弁護士法72条
条文
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
※法務省及び判例は、事件性必要説を採用している。
弁護士法違反となり得る行為
相手方と交渉し和解すること→和解契約書作成は、弁護士法違反の間接事実となりやすい。他の事実関係と相まって違法となるリスクが高いと思われる。(cf.和歌山訴訟、平成26年12月26日鳥取地方裁判所米子支部判決etc・・)
※司法書士に和解契約書の作成権限がないとの趣旨ではない。
実質訴訟代理→形式的に訴訟代理していなくても実質的な訴訟代理をし訴訟行為を策定(本人の意思決定を経ない)は違法となる(cf.富山訴訟)
弁護士法72条との関係~「鑑定」ができるのか
鑑定とは
法律上の専門知識に基づいて具体的な事案に関して判断を下すこと(福原忠男「弁護士法」P261、松山地方裁判所西条支部昭和52年1月18日判決)
後述する高松高裁判決に言う「鑑定に属すべき事務に及ぶ」とは、司法書士が単に法律的見解を述べることではなく、司法書士が嘱託人に代わって判断を下すような行為を意味すると解される(司法書士裁判実務体系「職務編」P272)
鑑定には、深さの程度があり、相談された事実関係について法律判断をして回答する「広義の鑑定」と、相談者の意思決定を代わって行ったり関与したりする「狭義の鑑定」があると考えられる。(筆者見解。高松高裁判決、松山地裁判決より)
7号相談と鑑定
上述のとおりいわゆる法律相談であり、当然、鑑定は可能と考えられる
5号相談と鑑定
5号相談において鑑定ができるかどうか、つまり司法書士の本人訴訟における法律判断の限界を巡って、これまで複数の裁判例と学説が提示されている。
5号相談の範囲を狭く解すもの(法律判断限定説)
昭和29年1月13日付け民甲第2554号法務省民事局長回答
訴状、準備書面、告訴状、告発状等の作成は、他人から嘱託された趣旨内容の書類を作成する場合であれば、司法書士の業務範囲に含まれ、弁護士法第七十二条違反の問題を生ずることはない。しかし、いかなる趣旨内容の書類を作成すべきかを判断することは、司法書士の固有の業務範囲には含まれないと解すべきであるから、これを専門的法律知識に基づいて判断し、その判断に基づいて右の書類を作成する場合であれば、同条の違反の問題を生ずる。
高松高等裁判所昭和54年6月11日判決
・・・制度として司法書士に対し弁護士のような専門的法律知識を期待しているのではなく、国民一般として持つべき法律知識が要求されていると解され、従って上記の司法書士が行う法律判断作用は、嘱託人の嘱託の趣旨内容を正確に法律的に表現し司法(訴訟)の運営に支障を来さないという限度で、換言すれば法律常識的な知識に基づく整序的な事項に限って行われるべきもので、それ以上専門的な鑑定に属すべき事務に及んだり、代理その他の方法で他人間の法律関係に立ち入る如きは司法書士の業務範囲を超えたものと言わなければならない。・・・
民事局長 香川保一答弁(昭和53年衆議院法務委員会より)
・・・依頼人の嘱託を受けてその趣旨に従って書類を作成して提出することは司法書士の業務でございますけれども、たとえば即決和解の申立をしてくれという依頼人に対して、いわば法律的に判定をいたしまして、即決和解よりは訴えを提起したほうがいいというふうなことを司法書士がやるといたしますと、これは弁護士法違反になるわけでございまして・・・
・・・訴状の作成依頼を受けた場合に、嘱託人はこうこういう趣旨で収去を求めるのだ、それを法律的に整理して書類を作成することは、(中略)差し支えないのでありますけれども、その嘱託人の趣旨と違って、さらに法律的にはこういった方法をとった方がいい、あるいは仮処分をやった方がいいとか、そういうふうなところまで司法書士が法律判断をして、嘱託人にそういった措置を勧誘すると(中略)弁護士法違反と言う問題が出てくるのではないというふうに考える・・・
大阪高等裁判所平成26年5月29日判決(いわゆる和歌山訴訟の控訴審)
・・・裁判書類作成関係業務(中略)は、依頼者の意向を聴取した上、それを法律的に整序することに限られる。それを超えて、法律専門職としての裁量的判断に基づく事務処理を行ったり、委任者に代わって実質的に意思決定したり、相手方と直接交渉を行ったりすることは予定されていない・・・
富山地方裁判所平成25年9月10日判決
書類作成事務の限界と弁護士法72条の関係については、⑴の昭和29年通達を判断基準として用いている。
裁判官の忌避申立てや別訴の陳述書を提出したり、依頼者の同意を得ずに意思決定し実質代理に及ぶなど、特異な前提事実のある事件であるため射程が狭い点に注意。
5号相談の範囲を広く解すもの(目的的法的判断肯定説)
松山地方裁判所西条支部昭和52年1月18日判決(いわゆる宗判決)
・・・唯単にその口述に従つて機械的に書類作成に当るのではなく、その嘱託人の目的が奈辺にあるか、書類作成を依頼することが如何なる目的を達するためであるかを、嘱託人から聴取したところに従い、その真意を把握し窮極の趣旨に合致するように法律的判断を加えて、当該の法律事件を法律的に整理し完結した書類を作成するところにその業務の意義がある・・・
・・・聴取してその意を探り、訴を提起すべきか、併せて証拠の申出をすべきか、仮差押、仮処分等の保全の措置に出るべきか、執行異議で対処するかを的確に把握し、その真意に副う書類を作成するについて法律的判断がなされるべきは当然である・・・
・・・右書類作成嘱託の窮極の趣旨を外れ、職制上与えられた権限の範囲を踰越し自らの意志決定により自己の判断を以て法律事件の紛議の解決を図ろうとしたものであるかどうかによつて判断すべき・・・
・・・司法書士の作成すべき書類は本来は一種毎であり、・・・これを超えて右訴訟の見通しから数種数通の書面を起案したことが依頼人の嘱託の趣旨に反する場合もあり得るけれども、・・・依頼人の窮極の嘱託の趣旨に合致する場合もないではなく、仮に右のことが依頼者の嘱託を受けないものであったとしても、・・・直ちに弁護士法72条に違反するものとは言い難い。
日本司法書士会連合会編「再考司法書士の訴訟実務」(P19)
・・・松山地裁判決の枠組みを「目的的法律判断肯定説」と呼び、・・・認定司法書士が誕生した今となっては、簡裁代理等関係業務と裁判書類作成関係業務による書類の水準が同水準になる司法書士実務の実態を正確に表すには、目的的法的判断肯定説(上記松山地裁判決の立場・見解)によることが相当であるといえる。
弁護士法立法担当者 福原忠男「弁護士法」(昭和51年発行、P267)
・・・司法書士については、その制度の沿革から見て、業務の本質は「代書事務」とされているが、その内容は法律事務に関する必要書類の作成であって、弁護士の業務の一部と全く同一であり、その間、質的に境界を設けることは不可能に近い。事案の内容について判断し、鑑定に属する処置をすれば、代書事務から逸脱するといえようが、それも書類作成の依頼の趣旨を十分に果たして依頼者の便益に資するという見方からすれば、その業務に内包するものと解され、しかも、法務局方面もその点について厳しい取扱いをしているとは認められない。・・・
元東京高裁判事 加藤新太郎の見解(THINK116号別冊2018年「和歌山訴訟最高裁判決を受けて)
・・・従前から法的整序にとどまらず法的判断をしてもよろしい、むしろそうするのが相当であるという目的的法的判断肯定説が提唱されていまして、私もその考え方なのですが・・・
・・・代理は本人の情報付与後の同意があれば、それ以降、司法書士は本人に代わって意思決定することができますが、本人訴訟では本人に得心してもらわないといけません。・・・「代理は同意、本人訴訟は得心」ということです。本人訴訟支援においては、司法書士が「このようにすることには云々の意味がありますから、そのようにしたらいかがですか」と問いかけ、本人が「そのようにするといいのですね」と得心する。ここのところが、訴訟代理と違うように私は思います。・・・
法的判断限定説への各反論
高松高裁判決の読み方の注意点
実質的な判断基準
・・・司法書士が他人から嘱託を受けた場合に、唯単にその口述に従って機械的に書類作成に当たるのではなく、嘱託人から真意を聴取しこれに法律的判断を加えて嘱託人の所期の目的が十分叶えられるように法律的に整理すべきことは当然であり、職責でもある。・・・
・・・司法書士が、他人の嘱託を受けた場合に、「訴を提起すべきか、併せて証拠の申し出をすべきか、仮差押、仮処分等の保全の措置に出るべきか、執行異議で対処すべきか」などまで判断するとともに、「資料の収集、帳簿の検討、関係者の面接調査、訴訟維持の指導」をもなすことが、司法書士の業務ないしこれに付随する業務であるかどうかは、その行為の実質を把握して決すべきである。例えば訴状を作成する段階でも証拠の存在内容を念頭に置く必要があるし、前示の一般的な法律常識の範囲内で助言指導をすることは何ら差し支えない。これを一律に基準を立てて区分けすることは困難であつて、結局はその行為が嘱託に基づく事務処理全体から見て個別的な書類作成行為に収束されるものであるか、これを越えて事件の包括的処理に向けられ事件内容について鑑定に属する如き法律判断を加え、他人間の法律関係に立ち入るものであるかによって決せられると解すべき。・・・
・・・司法書士本来の業務である書類作成行為も、業務範囲を逸脱した行為の一環としてなされたときは、全体として違法評価を受けることを免れない・・・
(以上、昭和54年6月11日高松高裁判決から一部抜粋。)
旧司法書士法10条の影響
第10条 司法書士は、その業務の範囲を超えて他人間の訴訟その他の事件に関与してはならない。(平成14年改正により削除されている)
→事例の紹介は割愛するが、高松高裁判決においては、代理を行っている訳ではないものの、訴訟の関係者との面接やかけ合い(=関与)をした事案がことごとく有罪となっている。
→面接はクライアントとのみ行い、判例等を当たって離婚慰謝料額を算定するなど法律判断をして訴状や内容証明を作成した事案は無罪。
司法書士に法律判断権が無いように見える理由
高松高裁判決の「第二 控訴趣意第二(事実誤認の論旨)について」では、司法書士が法律判断をしたことを違法と評価し有罪を認定しているように記載している(公訴事実における「自己の法律知識に基づき右事件の内容について判断を下し」との評価の記載)
→その理由は、上記の「司法書士本来の業務である書類作成行為も、業務範囲を逸脱した行為の一環としてなされたときは、全体として違法評価を受けることを免れない」ことから来ているのであって、業務範囲内に収束する行為を行う場合には、法律判断を行うことができるものである。
鑑定が違法とされた事実関係は
高松高裁判決は、「事件の包括的処理に向けられ」た鑑定は、違法となると言っている。
・公訴事実第四 (企業組合の横領金に関する請求訴訟に際し)・・・裁判所から弁護士を入れないのかと言われたという同人に対し、まだ早い、わしが言うとおりにすれば済む、・・と答えた
・公訴事実第六 (交通事故事件に際し)・・・これだけひどい怪我をしているのに280万円ということはない。こんなことで判をついたらいかん、・・・s(加害者)の方にかけ合うのはわしにまかせと言い・・・
→事件の包括的処理を委任され、その中で、司法書士が独断で処理方針を決定し、本人の意思決定を代わって行い又は関与しているもの。・・・違法(鑑定に該当する)の認定
→司法書士の業務が書類作成に収束している場合に、判例や事実関係を調査し、法律判断をすることは違法とは認定されていない。(控訴事実第七)
→裏を返せば、松山地裁判決においては、公訴事実第四や六は、適法と認定されていたのであり、宗判決による目的的法的判断肯定説を取った場合、依頼者の依頼の窮極の趣旨に合致する場合、司法書士は、本人に代わって意思決定をして、書類作成ができるものとなる。
大阪高裁判決の言う説明義務、善管注意義務
・・・法律専門職として債務整理を受任する以上、権限の大小に関わらず、善管注意義務として、事案に即して依頼者の正当な利益を最大限確保するために最も適切・妥当な事務処理を行う義務を負うというべきであり、当事者の意向いかんにかかわらず、法律専門職として最善の手続について説明・助言すべき義務があるというべきである。そのうえで、当事者があえて他の手続を選ぶのであれば、それは自己の責任である・・・
誠実義務から導く解釈(THINK116号別冊2018年加藤新太郎「和歌山訴訟最高裁判決を受けて」)
・・・1つは認定司法書士の誠実義務を強調する方向です。この誠実義務というのは、司法書士法2条で職責について、公正かつ誠実にその職務を、その業務を行わなければならないと定めている・・・依頼者に対する忠実義務は、担保された能力いっぱいの仕事をすべきという義務を負うと解されます。従って、裁判書類作成業務についても訴訟代理業務と同じレベルの仕事をしなければ職責を果たせないと考えることになります。・・・
→認定司法書士が140万を超える事件については能力を落として業務をしないといけないとなると司法書士過誤となる(加藤新太郎見解)
司法書士会連合会の見解(「再考司法書士の訴訟実務」)
高松高裁判決の解釈(P5)
「国民一般として持つべき法律知識」は「国民一般として持っている法律知識」ではない。
=法治国家において国民が本来持つべき種々の法律、判例、裁判実務
手続判断と説明責任(P16)
・・・大阪高裁判決は「当事者の意向いかんにかかわらず」法律専門職として最善の手続を説明せよとしている。
この点について、高松高裁判決では司法書士が行う手続選択の判断は「その行為の実質」で検討すべきと慎重な表現となっていること、昭和53年6月6日の法務委員会における香川保一政府委員も「その嘱託人の趣旨と違って、さらに法律的にはこういった方法をとった方がいい、・・・そういった措置を勧誘すると・・弁護士法違反という問題が出てくる」と答弁していることと比較すると、大阪高裁判決では、司法書士に対して高度な説明義務を認定しているといえる。
大阪高裁判決の「裁量的判断による事務処理」の定義(P22、23)
書類作成者が直接、紛争に関与し、自己の判断で事務処理をしているものと理解←裁判書類作成関係業務において許容されないのは当然
使命規定の文言との整合性(筆者見解)
司法書士法第1条の変遷
旧法第1条 この法律は、司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続きの適正かつ円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保護に寄与することを目的とする。
(※規制方向への目的解釈の元凶ともいえる。筆者注)
改正第1条 司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。
昭和29年通達
「専門的法律知識に基づいて判断(が弁護士法違反となる)」⇔「法律事務の専門家」・・矛盾
※(上記黄色マーカー箇所参照)
高松高裁判決
「司法(訴訟)の運営に支障を来さないという限度」←旧1条の「訴訟等に関する手続きの適正かつ円滑な実施に資し」の反対解釈と思われる。・・・削除
「法律常識的な知識に基づく整序(を超えると弁護士法違反)」⇔「法律事務の専門家」・・矛盾
※(上記黄色マーカー箇所参照)
大阪高裁判決
「法律専門職としての裁量的判断(を行うと弁護士法違反)」⇔「法律事務の専門家」・・矛盾
※(上記黄色マーカー箇所参照)
→使命規定の創設により、5号相談の範囲の解釈は、以下に述べる現代的な目的的法律判断肯定説によるべきものと考えることができる。(筆者見解)
目的的法的判断肯定説と法律判断限界説の違いによる実務の差
近時の裁判例・・・「法律的に整序」の部分だけが独り歩き→整序しかできないから裁判書類の内容はすべて本人が司法書士に指示する必要があるとの誤解
→本人は、司法書士の作成した裁判書類の内容を具に理解していなければならず、そうでないなら非弁との主張
=高松高裁判決の曲解
抽象的であるがゆえ、恣意的に判断基準が異なる解釈を可能とする法律判断限定説による説明は好ましくない。
目的的法的判断肯定説・・・本人の理解度といった程度問題ではなく、司法書士のした業務が依頼の目的に沿った趣旨であり、それらの業務につき本人が自らの行為としてすることを決定していたか否かという客観的に分かりやすい基準で判断することとなる。
→本人が決定するためには、本人が理解しているのは当然であり、司法書士は職責に照らして十分に説明しなければならない。
(以上、再考司法書士の訴訟実務P17、24)
→これは、ある意味、現代的な目的的法的判断肯定説であり、折衷説とも呼べるものではないだろうか(筆者見解)
最後に
目的的法律判断肯定説に立ったとしても、本人の意思決定を置き去りにする執務が許されるわけではない。(∵司法書士の作成する書面は本人名義)
→インフォームドコンセントが言われるようになった1990年代以降において、弁護士が代理する際も、採るべき裁判所の手続きの選択や、訴訟係属中の次に行う訴訟行為や訴訟遂行の作戦や展開、和解判断などは、逐一本人に報告し意思確認してその決定を求めることが当たり前の執務となっている。(命令委任が標準化)
→高松高裁事件、和歌山訴訟、富山訴訟において、有罪や違法となった被告(人)司法書士は、この当たり前の執務ができていないし、(実質)代理をしないという当たり前のことができていない。
→司法書士の訴訟業務として当たり前のことをやることが極めて大切。
※最終的には各司法書士本職の皆様のご判断と自己責任となります。