今回は、合同会社の設立の手続と登記申請について解説します。合同会社と株式会社の比較についてはこちら。
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合同会社とは?概要とメリット
合同会社は、会社法に定める持分会社の1つです。
持分会社には、合名会社、合資会社、合同会社の3種類がありますが、合同会社が最も株式会社に近い性質を持っています。
というのも、合名会社や合資会社は、社員の一部又は全員が、会社の債権者に対して無限責任を負うのに対して、合同会社の社員はあくまで会社に出資をした額についてのみ会社債権者に対して責任を負うからです。
有限責任であるというところは、株式会社と共通なのですね。
合同会社には、出資者=会社経営者である社員や代表社員によって構成されます。株式会社で言えば、株主と取締役が同一人物であると言い換えることができます。
そして、合同会社では、社員は出資金額の多寡にかかわらず、一人一議決権を持ち、会社の運営を決議することになります。ここが、株式会社との大きな違いになります。
他に合同会社のメリットとしては、設立費用が安いということや決算公告をしなくていいという点が挙げられます。
設立費用については、株式会社の場合、定款認証5万、登録免許税15万以上に加えて司法書士報酬がかかりますが、合同会社の場合は、定款認証がなく、登録免許税が6万円+司法書士報酬となり、かなりお安くなります。
合同会社の設立手続き
定款の作成
合同会社を設立するためには、まずは定款を作成することとなります。
株式会社と異なり、公証人による定款認証は必要ありません。あくまで、設立時の社員によって作成されれば、それで足ります。
合同会社の定款には、必ず盛り込まなければならない、絶対的記載事項というものがあります。
絶対的記載事項は、以下のとおりです。
・目的・・・会社の事業内容を網羅して記載します。
・商号・・・会社の名称です。同一住所同一商号の場合は、登記できませんので事前に調査することとなります。
・本店の所在地・・・本社の所在する住所を記載します。〇〇市までで止めて記載することもできます。
・社員全員が有限責任社員である旨・・・合同会社では、社員全員が有限責任社員である旨を記載します。
・社員の出資の目的及びその価額・・・出資する金銭や現物とその価額について記載します。現物出資の場合、株式会社のような検査役による検査などの規制はありません。
また、合同会社においては、様々な事項について定款自治が認められており、会社の形をカスタマイズすることが可能となっています。
例えば、原則として社員の過半数により業務の執行について決定するところを、全員一致や1/3以上にするなど変更したり、総社員の同意がないとできない定款変更の要件を緩くするなどといったことが考えられます。
(詳しくは、弊所の司法書士にお尋ねください)
合同会社の設立登記申請手続き
合同会社は、設立の登記をすることによって、成立します。つまり、登記が設立の効力発生の要件なので、必ず登記をする必要があります。
合同会社の登記事項
合同会社の登記における記載事項である登記事項は、以下のとおりとなります。
①目的
②商号
③本店及び支店の所在場所
④合同会社の存続期間又は解散の事由について定款の定めがあるときは、その定め
⑤資本金の額
⑥業務執行社員の氏名又は名称・・・株式会社で言うところの取締役です。原則として、社員=業務執行社員ですが、定款で別段の定めが可能です。
⑦代表社員の氏名又は名称及び住所・・・株式会社で言うところの代表取締役です。業務執行社員=代表社員ですが、代表者を絞ることも可能です。
⑧代表社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
⑨公告方法に関する事項
合同会社の登記申請の添付書類
合同会社の設立登記申請の添付書類は、次のとおりです。(代表社員は個人である場合)
①定款
②定款の定めに基づく社員の互選により代表社員を定めたときは、互選書及び就任承諾書
③出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面
④設立時の資本金の額につき、業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面
⑤資本金の額の計上証明書
⑥司法書士への委任状
⑦(必要に応じて)官庁の許可書
⑧印鑑届及び印鑑証明書
合同会社の設立登記申請手続きについては、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。