今回は、住宅ローンの完済などの借り入れの完済により行う、抵当権抹消登記とその前提となる相続登記の必要性について解説します。
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抵当権抹消登記とは
マイホームを購入したり、会社ならば社屋や工場を購入したりする際に、銀行の融資を受けることは多いと思います。
その場合には、購入した不動産には金融機関の抵当権が設定され、その旨登記されているのが通常です。要は、不動産が担保に入っている訳です。
そして、借り入れを全て返済し終わると、金融機関が抵当権の登記を抹消するための必要書類を交付してくれますので、それを添付書類にして、抵当権抹消登記申請を行うこととなります。
借り入れを完済したら、忘れずに抵当権抹消登記を行うべきです。
なぜなら、完済したにもかかわらず抵当権登記を放置してしまうと、形式的には抵当権が存続しているように見えるため、最悪の場合、その抵当権に基づいて、強制競売の申立てが行えてしまうからです。
そうなると、執行異議を申し立てて、自分が借り入れを完済したことを証明する必要があるなど、やっかいなことになりますから、抵当権抹消を侮ってはいけません。
所有者が亡くなっている場合の抵当権抹消
不動産を購入した所有者が、借り入れの完済前に亡くなってしまうことがしばしば起こります。
この場合には、上記の抵当権抹消登記申請を行う前提として、亡くなった所有者の相続登記をあらかじめ行っておく必要があります。
相続登記を行うためには、通常、遺産分割協議を行い、相続する者を決める必要があります。なお、遺言がある場合にはその指定に従うこととなります。
また、所有者が亡くなったタイミングが、借り入れの完済後である場合、抵当権の抹消登記は、前提として相続登記を必ずしも行う必要はありません。
この場合には、共同相続人の一人が申請に関与することで、抵当権抹消登記を行うことができます。
不動産が共有の場合の抵当権抹消
複数の者が金融機関からの借り入れをして、不動産を購入したケースなどでは、抵当権が設定されている不動産が共有になっているものと思われます。
不動産が共有の場合、借り入れを完済して抵当権抹消登記を申請する際には、少なくとも共有者のうちの一人が申請に関与すれば抵当権抹消登記はできます。
その理由は、民法第252条に「・・・保存行為は、各共有者がすることができる。」と定められていることにあるとされています。
つまり、抵当権の登記を消すことは、不動産を保存する行為なので、各共有者が単独でできると考えられているのです。
共有者の一人が死亡している場合の抵当権抹消
では、抵当権が設定されている不動産が複数名での共有になっていて、共有者のうちの一人が死亡し、その後借り入れを完済している場合はどうでしょうか。
このケースでは、通常、上記で説明した保存行為であるとして、死亡した共有者以外の共有者のうち少なくとも一人が申請すれば、抵当権抹消はできると考えられます。当事務所で経験している実務でも、そのような取り扱いがされていました。
しかし、登記所や担当する登記官によっては、死亡している共有者の相続登記を前提として済ませておかなければ、抵当権抹消はできないとする場合もあるようですので、注意が必要です。
当事務所にご依頼を頂ければ、案件に応じて、登記所と打ち合わせの上、抵当権抹消登記を行いますので、ご安心ください。
抵当権・根抵当権の抹消登記やその前提となる相続登記については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。