会社の解散と清算人の就任の登記。前提として住所変更登記は必要か?

今回は、株式会社を解散する際の清算人の就任の登記と前提となる住所変更について解説します。

 

株式会社の解散

株式会社の経営が思わしくなくなったために、会社をたたんで事業を廃止することとなった場合は、会社を解散させ、清算手続きを取って、清算結了することにより法人格が消滅をするという流れを辿ることになります。

 

株式会社は、次に挙げる事由が生じたときに解散することとなります。

①定款で定めた存続期間の満了

②定款で定めた解散の事由の発生

③株主総会の決議

④合併により消滅する場合

⑤破産手続開始の決定

⑥解散を命ずる裁判

 

経営状態が思わしくなく、解散をする場合は、③の株主総会決議を行って自ら解散するか、債務超過なのであれば⑤の破産手続き開始の決定により解散をすることになるでしょう。

 

解散の登記と清算人の就任の登記

株式会社が解散した場合、法務局に解散の登記を申請する必要があります。

解散した会社では、取締役や代表取締役といった通常時の役員は存在せず、清算人又は監査役が役員として就任することになります。

清算人は、会社の現務を結了し、債権を取立て債務を弁済して、残余財産を分配し会社を清算することをその職務とします。

 

ですので、会社の解散の登記を申請する際には、清算人(及び監査役)の就任登記を併せて行うこととなります。

清算人にとなるのは、次に該当する者となります。

①清算開始時の取締役(法定清算人)

②定款で定める者

③株主総会の決議によって選任された者

④裁判所が選任した者

 

想定事例~特例有限会社の清算人就任と住所変更~

想定事例ですが、解散前の状態は、平取締役A、代表取締役Bがいる状態とします。

特例有限会社なので、取締役それぞれに住所が登記されていますが、何年も前の住所のままとします。

 

もし、解散と同時に、従前の取締役を清算人とする法定清算人での登記を申請した場合、代表清算人Bの印鑑届の住所と解散前の代表取締役Bの登記上の住所が相違するため、前提としての住所変更登記が必要との法務局の指摘を受けるでしょう。

 

法定清算人として、スライドで清算人の就任登記をする場合は、前提としての住所変更登記が必要なのです。

(他の司法書士のブログを見ていると必要のない法務局もあるようですから、事前に法務局に照会することをお勧めします。)

住所変更が長期間の登記懈怠になっている場合は、過料の負担さえ生じてしまいますので、依頼者に相当な負担がかかってしまいます。

 

けれども、これには一応の回避策があり、清算人を株主総会で選任することにより、前提としての住所変更登記は不要となります。

もちろん、株主総会の議案には、清算人の住所をしっかり記載する必要があります。

今回の事例では、この回避策により、無事登記を完了させ事なきを得ることができました。

 

株式会社の事業廃止による解散の登記、清算人の選任、清算結了の登記は、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。

 

 

 

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