遺留分侵害額請求の計算式と順番、時効について解説!

今回は、遺贈(遺言による贈与)や生前贈与を行う際に、事前に把握しておくべき遺留分侵害額の計算式とその請求の順序、そして消滅時効について解説致します。

 

遺留分侵害額の計算式

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に最低限保障されている相続分のことを言います。遺留分と相続法改正についての記事はこちらです。

遺留分と遺留分侵害額の計算式は、以下のとおりとなります。

 

遺留分を算定するための財産の価額(A)=(相続開始時における被相続人の積極財産の額+第三者に対する生前贈与(原則として1年以内)+相続人に対する特別受益となる生前贈与(原則として10年以内))-相続債務の全額

 

遺留分の額(B)=(A)×総体的遺留分割合×法定相続分  ※総体的遺留分割合は、直系尊属のみが相続人の場合は1/3、それ以外の場合は1/2

 

遺留分侵害額={(B)-(遺留分権利者が受けた遺贈又は特別受益の価額+遺留分権利者が取得すべき遺産の価額)}+遺留分権利者承継債務の額

 

遺留分侵害額計算のポイント

遺留分侵害額計算におけるポイントは、以下のとおりです。

・遺留分の計算の対象となるのは、遺贈、被相続人死亡1年前までの第三者への生前贈与、被相続人死亡10年前までの相続人への特別受益となる生前贈与です。

なお、被相続人死亡の1年より前の贈与であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与は、計算上加算されます。

相続人への特別受益となる生前贈与については、令和元年7月の法改正前は10年以内という限定はありませんでしたが、法改正により10年に限定されることとなりました。

 

・遺留分侵害額の計算上、考慮される「遺贈」には、「相続させる」旨の遺言や遺言による相続分の指定を含みます。

 

・遺留分侵害額の計算上、遺留分権利者が受けた特別受益の価額は遺留分額から控除されますが、これには10年以内という限定はなく、過去の特別受益は全て控除する計算となります。

 

・遺留分侵害額の計算上、遺留分権利者が取得すべき遺産の価額は遺留分額から控除されますが、これは実際に行われた遺産分割協議の結果とは関係なく、法定相続分や特別受益、相続分の指定を考慮した価額となります。「取得した遺産の価額」ではなく「取得すべき遺産の価額」であるためです。

なお、この計算においては、寄与分の額は考慮に入れないこととなる点にも要注意です。

 

遺留分侵害額の負担と順番

遺留分侵害額の負担

受遺者(遺言による贈与を受けた者)又は受贈者(贈与を受けた者)は、上記の遺留分の計算の対象となる遺贈又は贈与の目的の価額を限度として、遺留分侵害額を負担、即ち、金銭で支払う義務があるということになります。

ここで言う受遺者に、「相続させる」旨の遺言や遺言による相続分の指定を受けた者が含まれることとなります。

また、受遺者又は受贈者が相続人である場合は、その者の遺留分相当額を、上記の遺贈又は贈与の目的の価額から控除することとなります。

 

遺留分侵害額の負担の順番

上記遺留分侵害額の負担の順番は、以下のとおりです。

① 受遺者と受贈者がいる場合は、受贈者が先に負担する。

② 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合でその贈与が同時にされたときは、受遺者又は受贈者はその目的の価額の割合に応じて按分負担する。

ただし、遺言に別段の意思表示がある場合は、それに従う。

③ 受贈者が複数いて、その先後がある場合は、後の贈与に関する受贈者から順番に、前の贈与に係る受贈者へと負担していく。

 

遺留分侵害額請求権の時効

遺留分侵害額請求権には消滅時効があります。

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅します。

相続開始の時から10年を経過した場合も、同様に消滅します。

 

遺留分侵害額を事前に計算した上で行う、生前贈与や遺言書の作成については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

 

 

 

 

 

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