エアコンが設置できない?!売主に損害賠償請求できるか解説します!

連日猛暑日が続いてますから、日中はクーラーが効いた部屋で涼しく過ごしたいという方は多いのではないでしょうか。

今日は、自宅マンションにクーラーを設置しようとしたら、設置工事ができないという想定事例について、解説してみようと思います。

 

想定Q&A エアコンが設置できないけど、損害賠償請求できる?

Q:2年半前に自宅として、3LDKの中古リノベーションマンションを、不動産業者さんから購入しました。購入時には、リビングと洋室1つにエアコンが設置されていました。残りの2部屋にもエアコンは必要であると思い確認したところ、物件の説明書には「全室エアコン設置可」と書いていましたので、後日設置することができるものと安心してマンションを購入しました。

子供が生まれたので、今年の夏からエアコンを増設しようと思い、電気屋さんに工事に来てもらったところ、室外機に繋ぐダクトがベランダに1つ、玄関前に3つ来ていることが分かりました。現在、玄関前には室外機が1台置いてあるのですが、もうスペースがなく2台目、3台目の室外機を置くことができず、エアコンの設置工事ができませんでした。

全室エアコン設置可との説明と違うのですが、売主であった不動産屋さんに、ダクトをベランダ側に繋ぐ工事費を支払ってもらうことは可能でしょうか?

(相談の内容は想定のものです。)

 

A:エアコン2台分、3台分の性能の室外機を設置することで解決するのであれば問題ないのですが、もし、それができないのであれば、説明義務違反として売主である不動産業者に対して、室外機をベランダに置けるようにダクトを付け替える等の工事費相当額を損害賠償請求することはできると考えられます。

 

解説~不動産の売主や仲介業者の説明義務~

不動産の売主又は仲介業者には、売り物件について説明義務があるとされています。宅建業者については、宅建業法により少なくとも、重要事項説明書に記載する事項については、法律上の義務があります。

もちろん、重要事項以外の事項についても、説明義務はあります。(ただし、物件についてのあらゆることに関して説明義務がある訳ではありません。)

 

説明義務に違反した場合は、民法第709条の不法行為として、損害賠償責任を負うものと考えられます。今回のケースで、追加工事を実施しなければ、全室にエアコンを設置できないのであれば、これは明らかな虚偽説明ですから、売主は損害賠償責任を負うと言えるでしょう。

損害額としては、エアコンの全室設置に必要となる諸工事費相当額となるものと考えられます。

 

説明義務違反を肯定した裁判例

宅建業者の説明義務違反による損害賠償請求が認められた裁判例としては、千葉地判 平成23.2.17があります。

この裁判例では、Aさんは、中古住宅の購入時に売主である宅建業者Bから、物件は6mの公道に3m以上接しており、建築基準法上の接道義務を満たしていると説明を受けていました。

購入から16年後に、Aさんがその物件を売却しようとしたところ別の宅建業者から、その物件の前面道路の幅員が2.7mしかなく接道義務を満たしていないので建て替えができないから、買い受けることはできないと説明を受けました。

 

Aさんは、宅建業者Bに対して、説明義務違反による損害賠償請求を行い、物件の購入代金とその適正価格との差額である1050万円と住宅ローンの利息相当額である347万円の請求が認められました。

この判決では、Bには、Aに対する説明義務違反(本件不法行為)があったことが明らかであって、Bは、本件不法行為と相当因果関係にあるAの損害について賠償責任を負うと言うべきである、と判示されています。

 

瑕疵担保責任は特約で排除されていることも

中古不動産の売買においては、通常、瑕疵担保責任については免責とするか、購入から数カ月に限る旨の特約が入れられます。

瑕疵担保責任と言うのは、売買の対象物に隠れた不具合(瑕疵)がある場合は、売主は、契約の解除又は損害賠償の責任を負うとするものです。

今回のケースでは、エアコンの室外機が物理的に設置できないというのは、隠れた瑕疵であると言えるでしょう。

 

この瑕疵担保責任は、民法上はその瑕疵を知ってから1年間請求できますが、特約により排除したり、期間を短くすることができます。

ただし、宅建業法に特別の規定があり、宅建業者が自ら不動産の売主となる場合は、引渡しの時から2年以上とする特約でなければ無効となると定められています。

 

今回のQでは、中古マンション購入から2年半経過しています。契約書をよく確認し、瑕疵担保責任の期間が2年以上2年半未満となっているのであれば、瑕疵担保責任を問うことはできません。

一方、特約で期間が2年半以上となっているのであれば、瑕疵担保責任を問う方法も採れることとなります。

ただ、仮に瑕疵担保責任を問えないとしても、上記のように説明義務違反を問うことはできると考えられますから、契約書を見ただけで諦めることはありません。

 

説明義務違反や瑕疵担保責任による損害賠償請求についても、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

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