養育費の不払いで元夫の給料や預金の差押えをご検討の方へ

今日は、養育費の未払いで困っている場合の、元夫の給料債権や預貯金の差押えについて解説します。

結論から申し上げますと、条件さえ整っていれば弁護士に依頼しなくても司法書士による書類作成で、十分に差押えの手続きを行うことができます。

養育費の支払い請求での強制執行ができる場合

離婚する際に、養育費の取り決めをしたけれど、支払を受けていない又は滞っているというケースは、全体の8割程度あるようで、離婚後の養育費の不払いがいかに多いかが伺われます。

養育費を支払うように任意で催促しても応じない場合に、強制的に養育費を支払わせるためには、裁判所による強制執行の手続きを利用するしかありません。

 

まず、離婚した際に公正証書を作成しているか、裁判所の手続きを利用した場合は判決書、和解調書、調停調書又は審判書があることが前提となります。

公正証書を作成している場合は、養育費の支払いについて、強制執行に服する旨の受諾文言が入っている必要があります。

これらの書類がない場合は、通常の民事訴訟や養育費請求調停などの手続きを行って判決書、調停調書等を手に入れる必要がありますのでご注意下さい。

 

養育費債権のための差押えの限度額

次に、給料を差し押さえる場合、金額の限度が問題となりますが、養育費債権のための差押えの場合は給料の1/2が限度となっています。

もし、給料が66万円以上である場合は、給料の額から33万円を引いた残りの額の全部に対して、差押えをすることができます。

なお、養育費ではない、通常の債権のための差押えの限度は、給料の額の1/4となっています。養育費の場合は、生活が懸かっていますから多く差押えができるということです。

 

既発生の滞納養育費のために元夫の預貯金債権を差し押さえる場合は、滞納養育費の金額を超える1本の債権(預貯金等)全体を差し押さえることはできます。

しかし、1本目に差し押さえた債権(預貯金等)の額が、養育費の滞納額等を超えている時は、他の債権(預貯金等)を差し押さえることはできません。

 

将来の養育費のための将来給料の差押え

元夫の預貯金を差し押さえる場合は、既に支払期限が過ぎている養育費分しか差し押さえることはできません。

しかし、養育費等の定期的に発生する将来債権のために、元夫の給料等を差し押さえる場合は、将来の給料を1回の手続きで差し押さえることが可能となります。

 

差押え対象の特定

給料を差し押さえるためには、勤務先を特定する必要があります。

離婚前から勤務先が変わっていなければ問題ないのですが、離婚後に転職をしていると勤務先の特定が難しくなってきます。探偵を使うという方法もありますが費用が高額となるので、十分に検討をする必要があります。

 

滞納している養育費が高額である場合は、元夫の預貯金を差押えできれば、一気に回収できる可能性があります。

元夫の預貯金の金融機関と支店名まで特定できていれば差押えできますが、金融機関名とその支店名が不明の場合は差押えできません。金融機関が特定できない場合は、あてずっぽうで差し押さえるしか方法がなく、上手くいかないことも多分に想定されます。

 

強制執行の流れ

強制執行の手続きの流れとしては、

・裁判所に書類にて申立て

  ↓

・差押命令が債務者(元夫)と第三債務者(勤務先や預金のある金融機関)に送付

  ↓

・第三債務者(勤務先や金融機関)は債務者(元夫)に弁済することを禁止される

  ↓

・上記差押命令が届いたかどうか、債権者(ご依頼者様)に通知

  ↓

・第三債務者(勤務先や金融機関)による供託又は債権者(ご依頼者様)への直接弁済
 (差押えが空振りの場合は、取下げ)

  ↓

・供託された場合は、供託所へ供託金払渡請求

となります。

 

上記手続きは、ほとんど書類のみで行われるものですので、司法書士でも対応可能となります。

なお、差押命令が送達されてから1週間で、債権者(ご依頼者様)には、第三債務者(勤務先や金融機関)から取立てをする権利が法律上発生します。

第三債務者と話し合い、給料を直接ご依頼者様に弁済する手続を取ってもらいますが、この話し合いのところはご本人様での対応となります。

 

元夫の給料債権に複数の差押えがなされている場合は、第三債務者(勤務先や金融機関)は供託をする義務が生じます。その場合、裁判所による配当がなされますのでその証明書をもって、供託金の支払いを受けます。

 

間接強制について

最後に、養育費の強制執行には間接強制といって、債務者(元夫に)「・・・(養育費)を支払わない場合は、1日金〇〇円支払え」という形で制裁金を科す方法もありますが、この制裁金は上記のような差押え手続きを行わないと支払いを強制できないので、開き直られるとあまり効果がありません。

ただ、勤務先や預貯金のある金融機関が全く特定できない場合でも間接強制は可能ですから、そういう場合には検討の価値はあるでしょう。

 

離婚後の養育費の不払いで強制執行をご検討されている場合は、豊中司法書士ふじた事務所にお問合せ下さい。 

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