今回は、現役司法書士が考える国家資格合格難易度ランキングTOP5ということで、筆者の独断と偏見で勝手に発表してみたいと思います。
このページの目次
国家資格合格難易度ランキングTOP5!
筆者の職業は、司法書士という独占業務が与えられた法律系の国家資格になります。
世の中に国家資格は多数存在します。独占業務があるものや無いもの、名称独占であるものがありますし、種類別でいうと、法律系、医療系、土木系、不動産系など、多数に分類できます。
そこで、今回は、日本の国家資格を合格難易度の観点から、私の基準で勝手にランキングしたいと思います。
なお、あくまで、最低限の合格のためだけの難易度ランキングであり、試験の高度さや職業としての地位や権限の広さのランキングではありませんので、ご了承ください。
では、さっそく行ってみましょう!
1位 旧司法試験・予備試験
これに関しては、異論はないと思います。
現在、旧司法試験は既に廃止されていますが、法科大学院制度ができて新司法試験に完全移行するまでの間に、実施されてました。
予備試験は、現在の司法試験の受験資格である法科大学院卒業の代替措置として、司法試験の受験資格を得るための試験になり、こちらも旧司法試験に匹敵する難易度です。
試験科目は、憲法、刑法、民法、商法会社法、民事訴訟法、刑事訴訟法、(予備試験は行政法、選択科目も)になります。
旧司法試験は、圧倒的な難易度から、現代の科挙とも呼ばれていました。合格率は、平成に入ってからは3%~0.4%で推移していたようで、合格率の低さからも試験の難易度が推し量れます。一方の予備試験も、合格率は2~4%程度で推移しているようです。
旧司法試験・予備試験は、誰でも受験可能で、the資格という面があると思います。出題形式は、短答式、論文式、口述となっていて、特に論文式が最大の難関となっています。
私は、子供の頃に、親から「司法試験は10年はかかるよ。人生が狂う人もいるんだよ。」などと聞かされたものです。
私は、司法試験に挑戦したことはないですが、某市の副市長から、司法試験に挑み続けて60歳になった人の話を聞いたこともあり、旧司法試験(予備試験)は、人生をかけても合格できない可能性のある、最恐の試験であることが伺えます。
2位 医師国家試験(国立大)
2位は、医師国家試験とさせていただきました。
医師国家試験自体の合格率は、90%程度のものであり、試験自体が超難関というわけでないのかもしれませんが、まず、医学部に入学するための大学受験の難易度が相当高いです。
また、医学部の就学年数は6年と長く、医師資格を取得してからも、一人前の医師になるためには臨床研修医として2年以上、実践を積む義務があります。
これらの過程も含めてトータルの難易度で判定しています。
ただし、医学部受験に関しては、下位私立大の合格に必要な偏差値はそこまで高くないため、あくまで国立大の医学部卒に絞って2位ランクインとしました。
3位 司法書士試験(認定考査合格含む)
3位は、司法書士試験を挙げさせて頂きました。
司法書士という資格は、弁護士や公認会計士より、職業の権限の位置づけはやや劣るかもしれませんが、試験の難易度は圧倒的なものがあります。
試験には受験資格はなく、誰でも受験できます。出題科目は、憲法、民法、刑法、会社法、不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法の11科目で、そのボリュームは日本一と言われています。
出題形式としては、短答式、記述式、口述になり、短答式の得点割合が大きいものの、記述式は模擬の登記申請を行うもので相当の難易度となっています。
また、合格率は、近年は3~4%で推移しており、この合格率の低さと試験範囲の広さが相まって、難易度の高さに結びついていると言えます。また、科目免除や科目合格の制度が一切ないことも、難易度を押し上げる要因になっています。
さらに、合格後は、簡易裁判所での訴訟代理業務をすることができる認定司法書士になるための認定考査という試験があり、合格率は40%~60%で推移しています。司法書士試験合格者の中で、さらに振るいにかけられる訳ですから、認定司法書士になるまでの難易度は相当高いといえるでしょう。
知り合いの弁護士の先生からも、「受かるだけなら司法書士の方が難しい」と言って頂いています。
4位 司法試験(現行)
ここで、司法試験の登場です。意外にも難易度的には4位とさせて頂きました。現行司法試験の受験のためには、法科大学院を卒業する必要があることが、特徴の一つですね。
試験科目は、憲法、刑法、行政法、民法、商法会社法、民事訴訟法、刑事訴訟法、選択科目になります。
確かに、司法試験は、短答、論文、口述と出題形式が高度ですし、論文試験の問題も超長文で高度なのは間違いありません。
けれども、近年は、法科大学院の入学者が激減し、合格率は既に40%を超えて、さらに上昇傾向です。司法試験は、2人に1人は受かる試験になってきているのです。
出題形式がいかに高度で複雑でも、合格率というハードル自体が低ければ、試験の攻略難易度自体は自ずと低くなります。
また、短答式試験が憲法、民法、刑法の3科目に絞られており、出題範囲が予備試験よりも狭くなっていることも、難易度を下げる要因となっています。
時間とお金があって法科大学院に行けるのであれば、合格すること自体はそこまで難しくないのが、現在の司法試験と言えるでしょう。
5位 公認会計士試験
公認会計士試験も相当な難易度を誇ります。
受験資格はなく誰でも受験可能です。出題形式は、短答式と論文式になります。
科目は、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法(以上、短答及び論文)、論文では、租税法と選択科目になります。
短答式試験は、年2回実施されていて合格率は、20~25%程度で推移しているようです。論文式試験は、35~40%の合格率となっています。
合成した合格率は、概ね10%程度となります。ただし、短答式は一度合格すると以降2年間は免除になりますし、論文式試験にも科目合格(有効期限は2年)が導入されているので、取り組み易い試験だとは言えます。
また、他資格の合格者が受けられる科目免除もありますので、ダブルライセンスも狙いやすいと言えます。
とは言え、試験自体の難易度は高く難関国家資格であることに間違いはないでしょう。
以上、筆者の独断と偏見で勝手にランキングしましたが、いかがでしたでしょうか?
上記の国家資格は、いずれも人生を変えるだけのパワーを持ったものばかりですので、挑戦する価値は大いにあると思います。受験生の皆さんは頑張ってください!