今回は、債権回収の手法の一つである、裁判所での支払督促手続きについて解説します。
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迅速な債権回収の方法である支払督促
友人に貸したお金が返ってこない、売掛金を支払ってくれない、工事代金を払ってくれない・・などでお困りの際に、司法書士などの法律家に債権回収の相談をされるケースは多くあります。
まずは、内容証明郵便を送付して法的手続きを前提とした請求をするのがセオリーで、これで払ってくれればいいのですが、無視されることもかなり多いです。
そうなると、本格的に民事訴訟の提起を考えないといけなくなるのですが、一方で、訴訟には半年~数年といった長期間かかってしまうというデメリットも存在します。
もっと迅速に債権を回収しなければ、資金繰りや経営に影響が出てしまうといった事情がある場合もあろうかと思います。
そういった際に、裁判による判決の取得よりもずっと短期間で、判決と同様に相手の財産を差押えができる文書(債務名義)を取得できる可能性がある方法が、支払督促手続きになります。
支払督促手続きの流れ
- 支払督促の申立て
- 支払督促の相手方への送達 → 2週間以内に督促異議が出た場合 → 通常訴訟へ移行
- 仮執行宣言申立・・・相手方が支払督促を受領した日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、その2週間目の翌日から30日以内に行う必要がある。
- 仮執行宣言付支払督促の送達 → 2週間以内に督促異議が出た場合 → 通常訴訟へ移行
- 確定・・・相手方が仮執行宣言付支払督促を受領した日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは確定し、強制執行が可能となる。
支払督促手続きの特徴
申立てにおいて証拠書類の添付は不要
支払督促手続きにおいては、どういう法律上の原因があり、いくら支払いを請求するか(請求の趣旨と原因)という点を申立書において明らかにする必要があります。
一方で、相手方から異議が出た場合は通常訴訟に移行するため、相手に対する手続保障は十分なされていますので、支払督促の申立の段階では、契約書類などの証拠書類の添付は求められていません。
これにより、相手からの異議さえでなければ、迅速に債権を回収することができるものとなります。
異議が出ると通常訴訟に移行する~管轄や少額訴訟には注意~
上記のとおり、支払督促は、簡易迅速に債務名義を取得し強制執行(差押え)の権限が付与される手続きになります。
一方で、相手方には、手続き中二度、督促異議を出せるチャンスがあります。
異議が出ると、支払督促は効力を失い、通常訴訟へと移行し、主張と立証に基づいて請求債権の有無が審理されることになります。
支払督促の申立ては、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所へ申立てることとなります。
異議が出て通常訴訟に移行する場合は、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所又は地方裁判所に訴訟が係属します。
つまり、相手方が遠方の場合で、異議が出る可能性が高い場合は、最初から自分の住所地で通常訴訟を提起した方が、利便性はいいということもあり得ますので、要注意です。
また、督促異議からの通常訴訟の移行では、少額訴訟は選択できませんので、少額訴訟をご希望の場合は、支払督促手続きは行えないものとなります。
支払督促が届いたら?迅速に対応する必要あり
一方で、あなたの所に、裁判所から支払督促が届いた場合は、迅速に内容を検討し、必要に応じて督促異議を出す必要があります。
身に覚えのない請求内容の支払督促なのであれば、異議を出さず放っておくと、確定してしまい最悪は財産の差押えを受けてしまう可能性があります。
支払う必要がないと判断した場合は、上記の流れに記載のとおり、期限内にしっかりと督促異議を出して、移行した訴訟で争う必要があります。
支払督促と司法書士の対応可能範囲
支払督促手続きを所管しているのは、簡易裁判所になります。
一方で、司法書士には簡易裁判所での代理権がありますので、支払督促手続きについては全て代理できるようにも思えます。
しかしながら、代理という方法での対応は、140万円以下の請求に限ります。
140万円を超える請求の場合は、本人名義での裁判所提出書類作成としての対応は可能ですのでご安心ください。
なお、支払督促手続きは、裁判所への出頭がなく、書類のやりとりのみで完結しますので、司法書士の書類作成権限での十分対応可能です。
費用は弁護士に比べて、グッとお安くなりますので、まずは弊所の司法書士にご相談ください。
以上、支払督促手続きの流れと特徴について、解説しました。
簡易裁判所に対する支払督促の申立てや督促異議については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。
なお、法律相談・訴訟相談については、電話・メール・LINEでの回答は致しておりませんので、ご面談(オンライン含む)でのご相談の予約をお願いします。