料金請求訴訟(売掛金回収)と被告が認知症等の場合の特別代理人選任について解説。

今回は、料金請求訴訟と被告が認知症等の場合の特別代理人の選任手続きについての解説をします。

想定事例~老人ホームの施設利用料の未払い(売掛金回収)~

Q:弊社が運営している老人ホームに入居していたAさんという方なのですが、施設利用料の滞納が続いたため、3か月前に退所しました。滞納額は130万円程です。

Aさん自身は重めの認知症であるため、Aさんと奥さんに対して、料金を支払うよう何度も通告したのですが、一向に払ってくれる様子はありません。

弊社としては、法的措置も辞さない旨を通告しているので、訴訟をして未払い料金を回収して頂けないでしょうか?

(ご相談の内容は想定となります。)

 

A:司法書士は、140万以内の簡易裁判所での訴訟であれば、弁護士と同様に代理人として活動できます。

ただ、重い認知症の方は、訴訟に対応する能力がないため、後見人が選任されるか、もしくは特別代理人の選任を行った上で提訴する必要があります。

まずは、契約書や入所時の日誌など、証拠書類を確認させて下さい。証拠が固まっているのであれば、勝訴の見込みはあります。

 

認知症の方を被告として訴えることができるか?

成年後見人の選任申立て

被告として訴えたい相手方が認知症や精神病等を患っていて、判断能力(意思能力)がない場合、訴訟手続きを進めることができません。

民事訴訟法上の訴訟能力がないのです。(訴訟能力とは、訴訟に関する知識の有無のことではなく、訴訟の内容を理解する判断能力があるかどうかのことを指します。)

そういった場合、まずは、被告となる者に成年後見人を付けることができないか検討することになります。

 

成年後見人を選任するためには、家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。

この申し立てができるのは、法律上、本人、配偶者、四親等内の親族などとされています。

これから、訴訟を提起しようとしている相手方(被告)やその親族が、こちら(原告)の都合に合わせて成年後見人の選任申立てを行うというのは、ちょっと考えにくいところです。

 

特別代理人の選任

成年後見人の選任が難しい場合、次に、被告に特別代理人を選任する手続きを検討することになります。

民事訴訟法35条には、「・・・未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、・・・特別代理人の選任を申し立てることができる」との規定があります。

 

今回のケースでは、被告となる者には、成年後見人が付いていないため、この条文の適用はないような気もします。

けれども、昭和62年の裁判例によると、上記の規定は、意思能力がない常況にあるが成年後見人が付いていない者に対しても適用があるとされています。

そこで、弊所としては、特別代理人の選任申立書を作成・提出し、被告に特別代理人を付けて訴訟を遂行することとしました。

 

ただし、条文にあるように、遅滞のため損害を受けるおそれがある、という要件は満たす必要があります。

要件を満たせば、特別代理人が選任される可能性は高いでしょう。

 

なお、特別代理人の選任には予納金が必要となりますので、いったんは原告サイドで負担することとなりますが、勝訴できれば訴訟費用として被告から回収できます。

 

証拠が固まっていれば勝訴の可能性はある

特別代理人には弁護士が選任され、答弁書では、請求原因に対して否認がなされるのが通常の対応になろうかと思います。

今回のケースでは、入所契約書や料金の請求書、入所時の日誌など、証拠を十分に固めることができれば、無事勝訴判決を得ることができるでしょう。

 

以上、想定事例により、被告が認知症等の場合の特別代理人の選任について解説しました。

売掛金などの債権回収や140万円以内の訴訟、裁判については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。

 

 

 

 

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