今回は、クレジットカードのショッピングの利用による返済と代位弁済金の支払い債務及び200万円を超える遅延損害金について、任意整理したという想定の事例について解説します。
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想定事例(クレジットカードの利用等による借金の整理)
Q:私が若いころから使っているクレジットカードの利用による借金を整理して頂けないでしょうか?カード会社には、毎月1万円程度の返済を続けていますが、債権者からの通知によると債務は250万円ほどあり、返済の目途が立ちません。
(ご相談の内容は、想定です。)
A:承知しました。まずは、債権者に対して受任通知を送付し、取引履歴を開示させ過払い金がないか調べてみます。ただし、あまり期待はしないでください。過払い金がないのであれば、任意整理を行い利息のカットと分割払いを要求していきます。
受任通知の送付、取引履歴の開示
まずは、債権者であるクレジットカード会社(メガバンク系列)に対して、受任通知を送付し、取引履歴の開示を請求することとなります。
司法書士が債権者に対して貸金業者に受任通知を送付した場合、取立てがストップし、以降の交渉の窓口は司法書士へと移ります。
貸金業者の取立てでお困りの場合は、司法書士が債務整理を受任することが有効な対策となるでしょう。
取引履歴の開示に要する期間ですが、通常、受任通知の中で2週間以内に開示するよう請求しますが、実際には2週間で開示される例はあまり多くなく、1カ月程度かかる場合もありますので要注意です。
メガバンク系カードの利息と過払い金
今回のご相談のケースでは、取引履歴を開示したところ、クレジットカードの利息は18%で法定の範囲内であり、過払い金は発生していませんでした。(過払い金について、詳しくはこちら)
メガバンクや地銀などの金融機関関係については、金利が利息制限法の範囲内に設定されていることが通常であり、過払い金が発生しているケースはあまりないでしょう。
なお、現在(令和2年7月)、グレーゾーン金利が撤廃されてから10年以上が経過しており、債務整理において過払い金が生じているケースは相当少なくなってきています。
和解交渉
今回のケースでは、クレジットカードのショッピング利用債務のほかに、債権者であるクレジットカード会社が本体であるメガバンクに対して代位弁済したことによる求償債権があります。
以上2つの元本債務は50万円程度だったのですが、遅延損害金が200万円に上っているとします。
まずは、債権者との任意交渉の中で、遅延損害金の全額カットを申し入れましたが、金額が大きすぎることから交渉は難航し、全額カットは実現しませんでした。
ただし、その代わりに、遅延損害金の幾ばくかのカット、将来利息のカット、長期の分割払いの実現(89回払い)で和解を妥結することができました。
司法書士の代理権の範囲
今回のケースでは、元本が50万円程度、遅延損害金が200万円程度で、合計すると250万円となり、司法書士の代理権の限界である140万円を超えているのでは、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
これについて、明確な判例が出ている訳ではないのですが、有力な学説上は、遅延損害金というのは訴訟においては附帯請求となり訴額に算入されないものであるため、元本の額(=訴額)が140万円以下であれば、元本に遅延損害金を加えた合計金額が140万円を超えていたたとしても、司法書士の代理権の範囲内であるとされています。
クレジットカードや消費者金融からの借り入れの返済でお困りの方は、豊中司法書士ふじた事務所に債務整理をご相談ください。