物件の特定があいまいな遺言で相続登記はできる?対策を解説します!

今回は、物件の特定があいまいな遺言で相続登記ができるのか、登記ができない場合の対策について、解説します。

 

想定事例(住所で物件が特定された遺言による相続登記の可否)

Q:父が書いた自筆の遺言で登記できるかどうか、確認したいのです。というのも、現在、父は病気で遺言を書き直すことはできない状態になっているからです。

父の書いた遺言では、自宅の土地と建物を長男である私に相続させる、となっているのですが、自宅の土地と建物の記載が、「〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号」と住所(住居表示)での特定になっているのです。これでは、登記できないのでは、と思い相談させて頂きました。

なお、母は既に亡くなっており、父の相続人は、私と私の弟のみになりますが、相続には非協力的であり、遺産分割協議をすることは難しいです。

(相談内容は、想定になります。)

 

A:遺言において、相続させる対象の物件の特定が住所(住居表示)であるということだけで、一律に登記ができない訳ではありません。

しかし、実際に登記できるかどうかは登記官の判断になりますので、法務局と協議になります。

 

→地番検索サービスでの調査や管轄法務局への照会などを実施したところ、今回のご相談のケースでは、〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号という住所に存在する土地・建物は、それぞれ一つしかなく、明らかに相談者の父名義の不動産であることが特定できました。

その旨を登記官に説明したところ、登記は可能との回答となりました。

 

物件が住所で特定された遺言による相続登記

ある不動産を相続させる遺言を書く際に、住所によって物件を特定すると登記できないリスクが高まります。

なぜなら、「〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号」といった1つの住居表示の中に、複数の土地建物が存在することがあるからです。

 

遺言の中で不動産を特定するときは、最低限、土地は所在・地番を、建物は所在・家屋番号を使って記載する必要があります。

できれば、土地は「所在・地番・地目・地積」で、建物は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」で特定する方がいいでしょう。

そうすれば、他の物件と区別が付かないということは起こりませんので、物件の特定があいまいであるという理由による登記上の支障は生じないものとなります。

 

住所によって、物件が特定された遺言であっても、登記官と協議し、名寄帳や税務上の証明書、他の相続人の同意書等、追加資料の提出により登記できる場合もありますので、諦めずに司法書士にご相談を下さい。

 

物件の特定が不十分で登記できない場合の対処

遺言における物件の特定が「〇〇市の倉庫」や「〇〇市〇〇町〇〇番〇〇の自宅」などといった形で、あいまいな表記になっていることにより、登記申請が却下された場合は、もう登記はできないのでしょうか?

まずは、登記を却下するという処分に対して、法務局長に対する審査請求を行う方法が考えられます。この審査請求というのは、法務局に処分の再考を促す手続きとなります。

また、登記の却下処分に対して、処分取消訴訟を提起して裁判所で争うという方法もあります。

 

一方で、登記の却下が妥当である場合、つまり、審査請求や取消訴訟で争っても勝つ見込みがない場合もあります。

そういった場合は、他の法定相続人に対して、遺言の対象となった物件に関して、所有権確認訴訟を提起するという方法が残されています。

これに勝訴できれば、遺言による相続登記が可能となります。

なお、この場合、他の法定相続人に対して、移転登記手続請求訴訟を起こしても登記ができないので要注意です。なぜなら、遺言による相続登記は、受益の相続人の単独申請だからです。

 

物件の特定が間違いない遺言書の作成や遺言による相続登記、審査請求手続きは、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

 

 

 

 

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