未払い残業代の計算や請求の方法について!

今回は、未払い残業代の請求などについて、解説致します。

 

労働基準監督署に通報する方法

サラリーマンとして勤務されている皆様は、残業をしたらした分だけ、残業代が支給されていますでしょうか?

私の周りのサラリーマンに話を聞くと、残業代が満額支給されているという会社は、どうやら少数派のようです。

どうすれば会社に残業代を支払わせることができるのでしょうか?

 

まず、考えられるのは、労働基準監督署に通報するという方法です。労基署の調査が入れば、残業代を支給していない会社に対して、指導・是正勧告が出る可能性があります。

しかし、これにはいくつか問題点があります。

まず、通報、すなわち労基署への申告をする際には、残業代が支払われていないという証拠を集めておく必要がありますので、これが一つのハードルとなります。

次に、仮に指導・是正勧告が出たとしても、これは法的拘束力のない行政指導にとどまるため、会社が無視してしまうこともできてしまうということです。

 

無視を決め込むと、最悪の場合は刑事罰を受けることもあり得るのですが、そこまで行く例というのはあまりないため、強制力があまり働かないのが難点です。

結局のところ、残業代を請求するという労使トラブルは、民事事件であるため、民事訴訟や労働審判により解決するしかないケースも多いでしょう。

民事訴訟や労働審判により解決する方法

証拠を集めておく

労働事件の解決方法についてはこちらを、民事訴訟等の手続きについてはこちらをご覧ください。

民事訴訟や労働審判により、未払い残業代を請求するためには、残業をしたという証拠を集めておく必要があります。

具体的には、出勤簿、タイムカードやキーロックの解除履歴、メールの送信履歴や業務日誌、入退室記録等になるでしょう。

 

未払残業代の計算式

次に、未払い残業代の計算式は、以下のとおりとなります。

●時間外労働時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率

 

時間外労働時間

時間外労働時間を判断するにあたっては、まず、就業規則や労働契約を確認することが必要です。

労働基準法では、労働時間は1日8時間、1週間で40時間と定められていますが、就業規則で1日7時間などと、法律より少ない労働時間(=所定労働時間)を定めていることがあります。

 

所定労働時間を超える場合は、時間外労働にあたります。ただし、割増はありません。

また、シフト制を採っている会社などでは、変形労働時間制となっている場合がありますが、変形労働時間制だから残業代は発生しないということはありません。

(※変形労働時間制の場合の残業代の計算は特殊になります。)

 

また、固定残業代としている会社がありますが、例えば月40時間の固定残業代を支払っている場合、40時間を超えて労働した部分は追加で残業代を支払う義務がありますから要注意です。

他には、朝礼の時間や仕事の準備のための手待ち時間、着替えの時間なども、労働時間に含めて計算することとなりますので、残業代が発生していないか注意して下さい。

 

1時間当たりの基礎賃金

1時間当たりの基礎賃金は、時給制の場合は時給額となります。

月給の場合は、月給から通勤手当、別居手当、子女教育手当、臨時の賃金、結婚手当、ボーナス、住宅手当を除いた金額を、1か月の所定労働時間で割った金額になります。1か月の所定労働時間は、年間総労働時間を計算し、それを12で割り計算します。

 

割増率

割増率は、以下のとおりとなります。

法内残業        1.0   (1日8時間、週40時間を超えない範囲内での残業です)

法定時間外60時間まで  1.25

法定時間外60時間超過  1.5   (中小企業では、2023年4月1日まで猶予されています。)

休日労働        1.35   

深夜労働        1.25   (法定外残業、休日残業と重複適用可能)

 

消滅時効に注意

未払い残業代は、通常、2年で消滅時効にかかってしまうので注意が必要です。なお、悪質なケースでは、不法行為であるとして3年とできる可能性もあります。

 

付加金の請求

未払い残業代を通常訴訟で請求する場合は、付加金という制裁金を加算して請求することができます。これは、未払い残業代と同額が請求できますので、つまり、2倍の金額を請求できることとなります。

この付加金も、請求は2年以内にする必要があります。

また、通常の民事訴訟で勝訴判決を得た場合に請求できるものとなっており、労働審判で認められるかどうかは、各裁判所の運用次第となっているようです。

 

司法書士による未払い残業代への対応

未払残業代の合計が140万円以内(付加金は除く)である場合は、司法書士が依頼者様に代わって交渉したり、簡易裁判所での裁判を代理することができます。

140万円を超えている場合で、手続き全てを任せたい場合は弁護士に依頼することになりますが、本人訴訟の支援を希望される場合は、司法書士にご依頼頂くことができます。

 

未払い残業代の請求については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

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