労働事件の解決方法や機関は?民事訴訟や労働審判も解説!

今回は、労働に関する紛争が生じてしまった場合の様々な解決方法について、解説します。

企業と従業員が雇用契約を締結し労働関係が生じると、その条件について様々な問題が生じます。労働者側、企業側、それぞれの事情や思惑があり、その解決は容易ではないと思います。

労働事件に関する司法手続きについても、労働審判など特徴的な制度がありますので、以下に解説して参ります。

 

労働紛争の種類

労働紛争を大きく分類すると、個別的労働紛争と集団的労働紛争の2つに分かれます。

個別的労働紛争というのは、個々の労働者と使用者である企業との間で生じた紛争の事を指します。その解決のために適用される法律は、労働基準法や労働契約法などとなります。

集団的労働紛争というのは、労働組合等と使用者である企業との間で生じた紛争の事を指します。その解決のために適用される法律は、労働組合法などとなります。

なお、近年、労働組合の数は減少傾向であり、労働組合が関与する紛争の数もそれ程多くはないようです。

 

行政機関による労働紛争の解決

労働紛争を解決する方法は、裁判だけに限りません。テレビドラマなどもありましたが、労働基準監督署に駆け込むという方法は比較的知られていると思います。

労働基準監督署

労働基準監督署は、労働基準法などの労働保護法に基づいて、企業の労働基準法等の遵守について監督等を行う官庁です。

労働基準法には、雇用や解雇、休日など様々な労働に関する規制が設けられていて、その規制に反する企業に対して、労基署は是正勧告等の指導を行います。

要注意なのは、労働基準監督署は民事紛争の解決には関与してくれないということです。

労基署ができることは、労基法違反などの企業の違法行為を是正するよう指導することです。なお、この是正指導の根拠である労基法には罰則がありますから、実効性はあります。

会社を相手に解雇や雇止めを争ったり、パワハラやセクハラでの損害賠償を求めたりということは、裁判所を利用するしかないということになります。

 

都道府県労働局

都道府県労働局は、労働基準監督署の上部機関です。都道府県労働局では、労働相談・情報提供を行っていますし、都道府県労働局長による助言・指導も行うことができます。

また、都道府県労働局に置かれた紛争等調整委員会によるあっせんによる紛争解決も行っています。

あっせんは、労働紛争の解決が図れるという点では、司法手続きに類するものですが、相手方に出席義務がなく欠席されると手続きが終了してしまう点や、あっせんが成立しても直ちに強制執行ができない点に難があります。

 

労働委員会

労働委員会は、労働関係調整法上の労働争議に関する調整(あっせん・調停・仲裁)と労働組合法上の不当労働行為の審査・救済を行います。

上記で説明した、企業と労働組合との間の紛争である集団的労働紛争の解決の専門的な行政機関となります。

労働委員会の処分はあくまで行政処分であり、それに不服がある場合は、裁判所に取消訴訟等を提起してさらに争うことが可能となっていますので要注意です。

 

裁判所による紛争解決

裁判所は、個別労働関係紛争、集団的労働紛争を問わず、権利義務を巡る労働紛争について解決する公的機関です。労働紛争において利用する主な手続きは、民事通常訴訟、保全手続き、労働審判がありますので、以下に解説していきます。

なお、他に利用できる手続きとしては、少額訴訟手続や民事調停手続きもあります。裁判手続きの種類と解説については、こちらをご覧ください。

 

労働審判

労働審判は、個別的労働紛争のみに関し、原則として期日が3回以内で終わる迅速な手続きです。平均すると概ね3カ月程度になるようです。

その解決方法にも大きな特徴があり、裁判官である労働審判官と2名の労働審判員が審理と評議を行い、調停の成立による解決を試み、調停が成立しない場合には、裁判所の判断である審判を行うことで、紛争の迅速、適正かつ実効的な解決を図ります。

当事者の合意ができるのであれば調停が成立しますし、合意ができない場合の審判についても完全に法律通りという訳ではなく、通常訴訟の判決よりも事案に応じた柔軟な判断が出せるものとなっているということです。

ただし、審判となった場合に、2週間以内に相手方から異議が出ると通常訴訟に移行しますので、要注意です。

労働審判に不向きな事案としては、事案が複雑なものや第2回期日までに一応の立証ができない事案などになります。

 

仮の地位を定める仮処分

仮の地位の定める仮処分は、民事訴訟の前段として行う保全手続きの一つです。

債権者に生じる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要であると認められた場合に発令されますので、比較的ハードルは高いものとなっています。

本案訴訟の判決や労働審判が出る前に、仮に処分が下りその執行もできるため、緊急に権利を保全する必要がある案件では有効です。

仮処分の手続きは、緊急性があるため裁判所も迅速に対応してくれますが、それでも3カ月程度で審理を終結することが目途とされていますし、複雑案件の場合は半年から1年前後を要することもあるようです。

解雇無効を争う場合には、賃金の仮払いの仮処分は認められても、従業員としての地位保全の仮処分は認められないようなので、要注意です。

 

先取特権の実行

賃金や退職金が未払いとなっており、その請求を行う場合があります。

雇用により生じる債権には先取特権という権利があり、通常訴訟による判決を得ずして、会社の財産に対して差押えを行うことができます。

上記の仮処分のような保全手続きではなく、終局的に債権の回収が図れる手続きであり、担保を立てる必要もない点がメリットとなります。

 

通常訴訟

通常訴訟は、提訴がなされ、弁論期日や弁論準備を経て争点を整理し、集中証拠調べをして判決となる手続きです。

その手続きに要する期間は、特に複雑な案件を除き、通常1年から1年半くらいとなります。また、裁判所から、随時、和解を勧められますので、柔軟な解決をすることも可能となっています。

時間がかかる分、十分な主張や立証を行うことができる点がメリットです。

 

審理に時間がかかるので、緊急に権利や地位の保全をしておく必要がある案件では、仮処分などの保全手続きを行う必要があります。

迅速な解決を望む場合は、労働審判が適している場合も多いでしょう。

一方で、短期間に証拠を集められない場合や、事案が複雑な場合は、通常訴訟が適していると言えます。

 

司法書士による労働紛争の解決は

上記のように労働事件については、様々な解決方法がありますが、司法書士としては、全ての解決方法に関与できる訳ではありません。

司法書士は、通常訴訟や仮処分、労働審判などで裁判所に提出する書面を作成等することによる本人訴訟支援を行うことができます。

また、認定司法書士は、未払い残業代や解雇予告手当などの請求額が140万円以内である場合の交渉や簡易裁判所での訴訟代理を行うことができます。

なお、難しい尋問が必要であったり、紛争解決を全てお任せで対応して欲しいというような場合には、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

 

労働事件に関する本人訴訟支援や140万円以内の紛争解決については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。なお、弁護士が適任であるようなケースでは、懇意の弁護士をご紹介します。

 

 

 

 

 

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