代物弁済とは?代物弁済による所有権移転、抵当権抹消登記について解説!

今回は、代物弁済についてと、不動産により代物弁済をした場合の登記のポイントについて解説します。

 

代物弁済とは~成立と効力発生~

代物弁済の概要

代物弁済とは、当事者の合意によって、債務者が負担している給付に代えて、他の給付をすることによりその債務を消滅させることを言います。

簡単に言うと、Aさんから100万円を借りているBさんが、金銭での返済の代わりに100万円の土地をAさんに譲渡することにより、借金が消滅するのが、代物弁済ということになります。

 

代物弁済契約の成立

旧民法では、代物弁済は要物契約とされていました。つまり、弁済に代わる給付物の現実の引渡しをして、初めて契約が成立するとされていました。

ただし、旧民法においても、諾成的な代物弁済の合意は有効であるとされていました。

 

そこで、令和2年4月1日施行の新民法では、代物弁済契約が諾成契約であることが明確にされました。つまり、当事者間の意思の合致のみで代物弁済契約が成立するということです。

 

代物弁済の効力発生

ただし、代物弁済による債務の消滅という効力が発生するためには、弁済の代わりに物を給付を完了する必要があります。

 

金銭を払う債務の代わりに不動産で代物弁済をする場合、その不動産を譲渡する意思表示だけでは弁済の効力は発生せず、その不動産の所有権移転登記の完了によって弁済(債務消滅)の効力が生じることとなりますので、注意が必要です。

 

代物弁済と不動産登記申請手続

不動産で代物弁済をした場合の所有権移転と抵当権抹消登記

例:Aさんは、Bさんから1000万円を借りていて、Aさん所有の甲土地にB名義の抵当権を設定していました。

Aさんは、借金の弁済期日(令和2年5月3日)に現金がなかったので、所有の甲土地で代物弁済することにしました。

AさんとBさんは、弁済期日に、代物弁済契約書を締結しましたが、甲土地の所有権移転登記及び抵当権抹消登記を申請したのは令和2年5月7日となりました。

 

まず、甲土地の所有権の移転時期ですが、特約等がない限り、代物弁済契約をした令和2年5月3日となります。

ですので、甲土地の所有権移転登記の申請書は、次のようになります。

 目的  所有権移転

 原因  令和2年5月3日代物弁済

 権利者 B

 義務者 A

 

次に、代物弁済の効力が生じて債務が消滅した日は、甲土地の所有権移転の登記日となる令和2年5月7日となります。

ですので、甲土地の抵当権抹消登記の申請書は、次のようになります。

 目的  〇番抵当権抹消

 原因  令和2年5月7日代物弁済

 権利者 A

 義務者 B

 

なお、上記2つの登記申請の順番ですが、最初が抵当権抹消で、次が所有権移転となりますので、ご注意下さい。

 

譲渡所得税、贈与税には要注意

代物弁済を行った場合、単純な弁済とは異なり、譲渡所得税や贈与税が課税されてしまうリスクが生じます。

上記の例で言いますと、Aさんは不動産の譲渡により、債務の消滅という対価を得ているとも言えるため、Aさんに譲渡所得が課税される可能性が生じます。(不動産の取得費次第では、課税されない場合もあります。)

 

また、甲不動産の評価額が1000万円より高い場合は、Bさんに贈与税の課税リスクも生じます。(超過額が110万以内なら贈与税はかかりません。)

甲不動産の評価額が1000万より低い場合は、Aさんは債務免除を受けているのと同じことになりますから、これについての課税のリスクも生じる可能性があります。

 

ただし、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、競売等が避けられないような事情がある場合には、上記の贈与税や譲渡所得税は課税されないものとされています。

(※税務上の論点について、詳しくは税理士にご相談下さい。)

 

代物弁済による所有権移転登記申請や抵当権抹消登記申請は、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

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