今回は、中小企業において、書面やPCやスマホ等でのオンラインTV会議を利用して遠隔で株主総会・取締役会を行う方法について解説します。
このページの目次
TV会議での株主総会の出席は認められるか
1つの会場に株主が集まって株主総会を開くことができない状況の中、例えば、各株主が自宅のPCやスマホから、zoomやskypeやmeetによりオンラインでつながって話すことにより会議ができれば、適法な株主総会になるのでしょうか。
結論から言うと、それは可能であるとされています。
会社法の立案担当者の解説によると、
「株主総会の開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されているといえる環境にあるのであれば、個々の株主が、インターネットを使って株主総会に参加し、議決権を行使することは可能」(相澤ほか「論点解説」P472)
とされています。
zoomやskype、meetはこの要件を満たしていると言えますので、これらのアプリを使えば、遠隔での株主総会が実現します。
ただし、中小企業の規模を超える大人数のほとんどがオンラインで参加するとなると、通信の技術面や本人確認での問題も生じると思われますので要注意です。
なお、母体となる株主総会とその開催場所は確保する必要がありますから、完全オンラインで株主総会を開く場合、開催場所を議長の住所としておくことになろうかと思います。
参加者である株主たちをオンラインでつないだ場合、議事録の上では、オンラインでの参加者は、その開催場所で開催されている母体の株主総会で議決権を行使したものとなります。
TV会議での取締役会の出席は認められるか
これについても、株主総会と同様に考えることができますので、上記の方法により開催可能です。
株主総会の書面決議の方法
完全に遠隔で株主総会決議を行う方法としては、従来からある書面決議の方法があります。
書面決議は、取締役又は株主が提案をした事項について、株主全員が書面又はデータで同意することにより、決議があったものとみなされます。
ポイントは、株主全員が同意しなければならない点です。
通常の会議体を開く方法よりも、可決となるハードルがグンと上がる訳です。ですので、この方法は、株主が気の知れた家族だけで構成されているなどといった場合が適していると言えます。
書面決議を行う場合、まずは各株主に決議事項を提案する書面又はデータを送付します。
次に、各株主から、提案事項に対する同意する書面又はデータを送付します。
さらに、書面決議を行った旨の株主総会議事録も作成をすることになります。なお、登記申請には、この議事録を使うこととなります。
取締役会の書面決議の方法
完全に遠隔で取締役会決議を行う方法としては、従来からある書面決議の方法があります。
ただし、株主総会の書面決議とは異なり、会社の定款に書面決議による取締役会決議を行うことができる旨が規定されている必要があります。
書面決議は、取締役が提案をした事項について、取締役全員が書面又はデータで同意することにより、決議があったものとみなされます。
ただし、監査役が異議を述べたときは、可決となりませんから要注意です。
ポイントは、取締役全員が同意しなければならない点です。
株主総会の場合と同じく、可決のハードルがグンと上がる訳です。ですので、この方法は、取締役や監査役が気の知れた家族だけで構成されているなどといった場合が適していると言えます。
書面決議を行う場合、まずは各取締役に決議事項を提案する書面又はデータを送付します。
次に、各取締役から、提案事項に対する同意する書面又はデータを送付します。
さらに、書面決議を行った旨の株主総会議事録も作成をすることになります。なお、登記申請には、この議事録と定款を使うこととなります。
オンラインによる株主総会や取締役会の開催、書面決議による株主総会や取締役会の決議とその議事録作成及び登記申請については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。