財産調査の結果に基づき財産目録を作成します。内容を踏まえ相続の承認、放棄を検討します。
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財産目録の作成
調査の結果判明した、不動産、預貯金、株式、有価証券などの遺産と負債について、一覧できる目録を作成します。当事務所の書式に従って、各財産を間違いなく特定できるような記載をしたものを作成致します。また、各財産の評価額を調査結果に従って記載します。
財産目録を作成することにより、何が遺産分割の対象になるのかが明確になり、遺産分割協議を円滑に進めることが可能となります。
遺産の評価
遺産分割において遺産の評価は、遺産分割時点を基準として行うことが原則となります。しかし、厳密に分割協議時点の価格を算出することは困難ですから、実際には財産目録の作成をする時期に、事前に調査・算出をした価額によることとなります。
評価方法については、相続人間の合意があれば、その方法によります。
例えば、不動産に関しては、公示・基準価格、相続税評価額、固定資産税評価額、鑑定評価額など複数の評価方法があります。原則としては、遺産分割時の時価で評価することになりますが、時価の把握には鑑定評価の費用が必要などのハードルがありますから、相続人間で合意して、相続税評価額で遺産分割するといったことも十分考えられます。(通常、宅地であれば相続税評価額は公示価格の8割程度となります。)
相続の承認・放棄
財産目録を作成したところ、プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産の方が多いことが判明する場合があります。そのまま単純に相続すると相続人が債務を負担しなければなりませんから、相続の放棄を検討することとなります。
相続の放棄は、原則として、故人が亡くなり自分が相続することを知ったときから3カ月以内にしなければなりません。この3カ月を熟慮期間といいますが、通常、この3カ月の間に相続の放棄等をしなければ、相続の承認したことになり、プラスの財産もマイナスの借金も全部相続することとなります。
しかしながら、場合によっては、熟慮期間の3カ月を伸長したり、3カ月を経過していても相続の放棄が認められる場合があります。詳しくは当事務所の司法書士にお尋ね下さい。
限定承認
限定承認とは、プラスの遺産の範囲内で故人の債務や遺言による贈与(遺贈)を弁済すれば、残りの債務については弁済しなくて済む手続きになります。
限定承認は、3カ月の熟慮期間内に、相続財産目録を作成の上、相続人の全員で家庭裁判所に申立てをすることによって行います。
プラスの財産は競売などの手続きにより売却され、その売却代金により故人の債務者に対して弁済を行うことになります。
故人の借金がいくらか分からない場合などに、使い勝手のよさそうな制度のように思えます。しかし、限定承認手続きを経た結果、マイナスの財産よりもプラスの財産が多い場合には、みなし譲渡所得といって故人から相続人へ相続したことをもって、所得税が課税される場合がありますので、注意が必要です。