抵当権の順位変更登記がされた登記記録(登記簿)の読み方!

今回は、抵当権の順位変更が登記されている場合の、登記記録(登記簿)の読み方について解説します。

抵当権の設定と順位

まず、大原則として、抵当権の優先順位は、登記された順番により決まります。簡単に言うと、早い者勝ちの世界ということです。

例えば、甲土地について、まず最初にAが抵当権を設定し、その後Bがさらに抵当権を設定し、Bの設定後にさらにCが抵当権を設定した場合の登記記録は、以下のようになります。

順位番号 登記の目的 権利者等
抵当権設定
抵当権設定
抵当権設定

この状態で、甲土地が競売にかかった場合、優先順位1番でAが弁済を受け、次にB、その次にCが弁済を受けるということになる訳です。

 

抵当権の順位変更と登記簿の読み方

A、B、Cの三者間で合意して、抵当権の順位を、第1順位をC、第2順位をB、第3順位をAと変更することができます。

この順位変更は、登記をすることによりその効力を生じますので、登記をしていない順位変更と言うのはあり得ないということになります。

上記の順位変更をした場合の登記記録は、以下のようになります。

順位番号 登記の目的 権利者等


(4)

抵当権設定

(4)
抵当権設定

(4)
抵当権設定

1番、2番、3番
順位変更

第1 3番抵当権
第2 2番抵当権
第3 1番抵当権

順位変更の際、抵当権を特定する方法は、当初の順位番号で特定していきます。

例えば、今回の順位変更でCの抵当権は、順位3番から順位1番に上がったのですが、Cの抵当権は設定当初は順位3番で登記されていますので、呼称はあくまで「3番抵当権」となる点に注意が必要です。

順位変更により、「第1 3番抵当権」と登記されていますが、これは、当初の登記で3番だったCの抵当権が第1順位になったことを意味する訳です。

なお、登記記録上、一番左の列の順位番号の下に記載されている(4)の意味するところですが、「4番で登記された順位変更登記の影響を受けています。」という注意の促しになります。

 

順位変更後に更に順位変更がなされた場合の登記簿の読み方

上記の例では、当初は第1A、第2B、第3Cだった順位を、第1C、第2B、第3Aに順位変更しました。

その後、更にBとAが合意して、BよりもAが優先する順位に変更する登記をすることになったとします。

つまり、結果として、第1順位C、第2順位A、第3順位Bという状態になるとします。この時の登記記録は、以下のようになります。

順位番号 登記の目的 権利者等


(4)
(5)

抵当権設定


(4)
(5)

抵当権設定

(4)
抵当権設定

1番、2番、3番
順位変更

第1 3番抵当権
第2 2番抵当権
第3 1番抵当権

1番、2番順位変更

第1 1番抵当権
第2 2番抵当権

ちょっとややこしいのですが、登記されている「第1 1番抵当権 第2 2番抵当権」という記載の意味するところは、

「当初順位1番で登記されている1番抵当権(A)は、当初順位2番で登記されている2番抵当権(B)よりも、順位が上です。」

ということになります。

ややこしいですが、Aの1番抵当権は、1回目の順位変更で全体での第3順位になっており、2回目の順位変更によりAは全体での第2順位のBよりも順位が上がるので、Aが全体での第2順位に、Bが全体での第3順位になるということです。

2回目の順位変更において、AとBの二者間だけで相対的に見た場合、第1がA、第2がBという順位付けになるため、登記簿ではそのように表現されている訳です。

 

順位変更登記の見方のポイント

少し複雑でしたが、ポイントは、以下の2つです。

・順位変更の登記において記載されている「第1 〇番抵当権 第2 〇番抵当権」の「〇番」は抵当権設定当初の順位番号を意味している。

・順位変更の登記において記載されている「第1 〇番抵当権 第2 〇番抵当権」の「第1」や「第2」というのは、その物件全体での権利の絶対的な順位を示しているのではなく、順位変更を合意した抵当権者間の相対的な順位関係を示している。

 

抵当権の設定登記申請や順位変更登記については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

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