今回は、株式会社の清算結了後に、抵当権抹消登記を申請する方法について解説します。
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株式会社の清算結了とは
株式会社をたたんで事業を辞めようと思った場合、会社については、株主総会の決議などにより解散をしてその登記をすることとなります。
解散した株式会社は、清算手続きに入り、清算人が債権者に弁済をし、残余財産を株主に分配します。
そして、会社の資産及び負債が0になったら、その決算を承認し清算結了の登記をして、法人格が消滅します。
つまり、清算結了の登記が入っている株式会社は、人間で言うところの「死」を迎えている訳です。
では、そのような清算結了がされている株式会社の名義の抵当権の登記が残っている場合、どうすれば抹消できるのでしょうか?
以下、場合に分けて解説していきます。
清算結了前に抵当権が消滅した場合
清算結了をする前に、弁済をするなどして、実体上抵当権が消滅していた場合、清算結了自体に問題はなく登記義務だけが残っていると考えることになります。
この場合は、清算結了登記を抹消して会社を復活させることまでは必要ありません。
代表清算人が生存している場合
(元)代表清算人個人が登記申請手続きを取ることで抵当権を抹消できます。不動産の所有者と共同して登記申請することになります。
なお、事前通知制度を利用して抹消登記をする場合に必要となる、抵当権者の印鑑証明書は、(元)代表清算人の個人の印鑑証明書で構いません。
代表清算人が死亡している場合
代表以外の他の清算人が登記申請手続きを取ることで抵当権を抹消できます。不動産の所有者と共同して登記申請することになります。
登記申請には、裁判所が発行した清算人選任決定の正本及び清算結了が記載されている登記事項証明書(又は会社法人等番号)を添付すればよく、新たに代表清算人の登記をする必要はありません。
清算人全員が死亡している場合
利害関係人が裁判所に申し立てることにより、清算人を選任してもらうことになります。その清算人と不動産の所有者とが共同して抵当権抹消登記を申請することになります。
清算結了後に抵当権が消滅した場合
清算結了後に、弁済などで実体上、抵当権が消滅した場合、清算事務が完全に終了していないにもかかわらず、清算結了をしてしまったことになりますので、清算結了登記を抹消して、会社を復活させる必要があります。
その上で、復活した会社の代表清算人が、抵当権抹消登記手続きを取ることになります。もちろん、不動産の所有者との共同申請になります。
なお、この場合に、清算人が死亡していたとしても、株主総会決議などにより新清算人を選任することが可能ですので、大きな問題にはなりません。
株式会社の解散や清算結了の登記申請、清算結了登記の抹消や抵当権抹消登記申請については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。