債務整理には、大きく分けると「過払い金請求」、「任意整理」、「破産手続き」、「民事再生手続き」、「消滅時効援用」の5つの方法があります。
ご相談を頂いた場合、司法書士が各手続きの特徴、メリット・デメリットをご説明し、依頼者様と一緒に最適な解決方法を探っていきます。
以下、それぞれの手続きの特徴について、ご説明致します。
このページの目次
過払い金請求について
過払い金は、カードローンやキャッシング等により、本来返済する必要のない金額まで返済したことにより発生します。
なぜ、払い過ぎが生じてしまうのか。それは、平成22年6月に出資法が改正されるまでに存在したグレーゾーン金利による違法な貸し付けが原因となります。
グレーゾーン金利とは、利息制限法が定める金利の上限(15%~20%)を超えた違法な金利のことを指します。通常、旧出資法が定めていた上限である29.2%で設定されています。
旧出資法の上限を超える金利での貸し付けは刑罰の対象となる一方、利息制限法には刑罰がないため、このようなグレーゾーン金利が生じました。現在では、平成22年6月の出資法改正により、グレーゾーン金利はなくなりました。
利息制限法が定める金利を超えた利息(グレーゾーン部分)の支払いは払い過ぎとなりますから、これを元本に充当することができ、元本が完済となっているにもかかわらず、なお支払を続けていた場合は、過払い金として返還を請求することができることになります。
以下に該当する方は、過払い金が生じている可能性があります。
・平成22年6月より前に借入れを開始した方
上記のようにグレーゾーン金利はなくなりましたが、過去の取引の違法な利息までもが適法になる訳ではありません。
つまり、平成22年6月以前の取引により過払い金が生じている方におかれましては、平成22年6月以降であっても過払い金の返還請求ができる可能性があるということになります。
・過去の借金を完済してから10年以内の方
過去に完済した借金であっても、過払い金の返還を請求することは可能です。過払い金の時効は、最後に弁済をした日から10年ですので、心当たりのある方は急ぎご相談下さい。
過払い金が生じている場合は、借金がなくなり、更に現金まで返ってくることになるので、ご依頼者様の生活を立て直すことができます。
任意整理について
上記のように過払い金が生じていなくても、債権者と任意に交渉して、将来利息をカットしたり、返済を3~5年の分割とすることにより、支払総額(利息込)や月々の支払金額を減らすことができます。任意整理について詳しくは、こちらをご覧ください。
自己破産手続きについて
自己破産とは、財産や収入が借金を返済するのに不足する状態(これを支払不能といいます。)となった際に、裁判所に申し立てることにより、住宅など今ある財産を処分して債権者に分配し、残った債務を法律により免除(これを免責といいます。)してもらう手続きのことを言います。
自己破産手続きについて詳しくは、こちらをご覧ください。
民事再生(個人再生)手続きについて
民事再生(個人再生)とは、裁判所に申し立てることにより、住宅などの財産を維持したまま、法律により借金を減額(概ね1/5)し、その残額を3~5年間で分割返済していく手続きとなります。破産手続きと大きく違う点は、住宅や車などの財産を残すことができる点です。
ただし、残る財産の額が上記の減額された借金の額より大きい場合は、財産の金額分は、債権者に弁済をしなければならなくなります。
また、住宅ローンが残っている場合は、通常、上記の減額の対象とはならず、引き続き弁済していくことにすることで、手元に住宅を残すことができます。
時効援用について
債権は、長期間放置すると時効により消滅します。現行(平成31年時点)の民法の場合、商事債権は5年間、普通の債権の場合は10年間放置された債権は消滅時効にかかります。
例えば、消費者金融や銀行からの借金は5年で消滅時効にかかりますし、信用金庫や住宅金融支援機構の住宅ローンは10年で消滅時効にかかります。
ただし、時効は上記の期間が経過するだけでは効力は発生せず、相手方に援用の意思表示をすることが必要となります。
また、時効には中断事由というものがあり、債権について請求や差押えなどがあったり、債務の承認があったりする場合には、時効に向けて経過していた期間がリセットとなりますから注意が必要です。
あなたに最適な債務整理は?
当事務所にご依頼を頂いた場合、借入れの開始時期や収入・資産の状況に応じて、あなたに最適な債務整理の方法を一緒に探っていきます。
平成22年以前に借入を開始している場合は、上記のグレーゾーン金利での支払いを続けている可能性がありますから、利息制限法の金利に引き直し計算を行います。
その結果、借金が減額となったり、過払い金の返還請求が可能となったりします。
上記引き直し計算の結果、借金の残額が180万(3社合計)であったとした場合、任意整理・自己破産・民事再生のどの手続きが最適なのでしょうか。
それは、あなたの家計の中から毎月返済に充てることができる金額で、3~5年の分割弁済で完済が可能かどうかで、判断していきます。
まず、180万円を3年で完済するとなると、月々の返済額は、180万÷36=5万となります。
つまり、毎月の返済額は5万円となります。
月収23万円、月の生活費が17万円のAさんの場合
月々の返済可能額は、23万-17万=6万円となります。
Aさんの場合は、月々の返済可能額が、毎月の返済額である5万円を上回るため、任意整理が適していると言えます。
月収15万円、月の生活費が12万円のBさんの場合
月々の返済可能額は、15万-12万=3万円となります。
Bさんの場合は、月々の返済可能額が、毎月の返済額である5万を下回るため、弁済をすることが困難ですから、自己破産手続きか民事再生(個人再生)手続きが適していると言えます。
債務整理のメリットデメリット
債務整理のメリット
- 法律家が介入することにより、ほとんどの場合、業者からの支払い催促や取立て行為を止めることができる
- 高い金利で借りていた場合は、借金が減額になったり、過払い金が返ってきたりする
- 破産手続きの場合、借金をなくし、人生をリセットすることができる
- 任意整理や民事再生では、月々の返済額を減らし、家計を立て直すことによって、生活再建を図れる
債務整理のデメリット
- 信用情報機関に事故情報として登録されることにより、5~10年間、新規借り入れができなくなる。
- 保証人に影響が出る場合がある(任意整理の場合は出ない。)
- 相手方が公正証書や勝訴判決を持っている場合、受任通知の送付により差押えを受ける可能性はある。
このようなデメリットはありません
よく、破産すると会社を解雇されるという噂を聞きますが、そのようなことはありません。公務員の場合は、破産すると懲戒解雇になるという噂も聞きますが、それもありません。
また、破産すると年金受給権がなくなるとか、戸籍に載るという噂も聞きますが、そういったことも一切ありませんから、ご安心ください。
債務整理をすることにより得られるメリットは、デメリットよりも遥かに大きなものです。
一人で悩み、問題を抱え込まず、まずは当事務所にお気軽にご相談下さい。
(以上、当事務所で行う債務整理は、司法書士法に定める業務範囲内に限ります。)
(登録外業者(いわゆるヤミ金)等の取立ては、受任通知によっても止まらない可能性はあります。)