債権回収は、時間との戦い~消滅時効が来る前に~
相手方が支払うべき金銭を支払ってくれない状態に陥ってしまった場合、早期にご相談を頂いた方が良いです。
まず、相手方の資力が悪化していく恐れがあります。
支払いを延滞するくらいですので、お金がない状態であることが想定されます。時間が経過することにより、相手方の収入や資産の状態が悪化し、最悪破産することも想定されます。
そうなると回収が困難となることが予想されます。
次に、消滅時効の問題があります。
現行(平成31年時点)の民法では、債権の消滅時効は原則として10年、商事債権といって事業や商売によって生じた債権は5年というルールになっています。
また、短期消滅時効といって、業種ごとに短い消滅時効が定められていますので、要注意です。
例えば、医師、助産師、薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権や、工事や設計に関する債権は、3年で時効となります。つまり、病院・クリニック、薬局や建設業者、設計事務所等が該当しますからご注意ください。
他には、学習塾やピアノ教室などの習い事の月謝、賃金や残業代、生産者・卸業者・小売業者が売却した商品の代金は2年、大工や左官等の労力の提供する者の報酬や運送賃、旅館や飲食店の料金は1年で時効となってしまいます。
上記に該当する業種の方の場合は、時効が迫っている可能性がありますので、すぐにご相談下さい。
民法改正(2020年4月1日施行)でどうなる?
上記のように、業種ごとに消滅時効期間には違いがあるのですが、これが分かりにくいということで、2020年4月1日から施行される改正民法では、商事債権の特例(5年)や短期消滅時効は廃止されました。
改正民法において、債権の消滅時効は、
- 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年
- 権利を行使することができる時から10年
となりました。
通常の金銭債権であれば、弁済期から5年で消滅時効を迎えるケースが多くなるものと思われます。これは、改正前の10年よりも短くなるものが多くなると言えるでしょう。
いずれにせよ、債権回収が必要となった場合は速やかに手を打たなければ、時効となって回収不能となるリスクがありますから、要注意です。
時効となっているかどうかについては、起算点の問題や時効の中断が生じていないかなど、判断が難しい場合もあります。まずは、お気軽に当事務所にご相談下さい。
(以上、当事務所で行う債権回収は、司法書士法に定める業務範囲内に限ります。)