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深刻化する人手不足
近年の日本において、人手不足の問題が急速に深刻化してきています。商工中金が行った意識調査によると、2011年に人手不足と答えた企業は14.6%であったものが、2018年には65.1%と急増しており、ここ7年で急速に人手不足が深刻化したことが伺えます。
特に、大企業よりも中小企業や個人事業において人手不足が顕著であり、後継者の育成にも大きな障害が生じてきています。
経営者の後継者不在
さらに、日本の少子高齢化が経営者の平均年齢を66歳超にまで引き上げ、その後継者が不在である企業は66%を上回っています。もはや、企業の後継者対策については、待ったなしの状況に追い込まれているものと思われます。
後継者対策の手法
後継者がいない企業において、対策として取り得る手法は、次の4つになります。
- M&A
- 事業承継
- 株式公開
- 廃業
1. M&A
M&Aは、一般的には、オーナーの所有する株式を他の企業に売却してその子会社とすることにより、資本提携する手法となります。他には、会社分割や事業譲渡など、事業の一部を売却するスキームもあります。
M&Aすることにより、後継者不在の企業は存続することができ、従業員の雇用も守られ、地域経済の衰退も防ぐことができます。通常、売手企業の代表取締役は、買手企業から送られてきますので、経営者が確保されることにもなります。
旧オーナーは、しばらくの間、顧問などで会社に残り、新社長に業務の引継を行います。
M&Aについて、詳しくはこちらをご覧ください。
2. 事業承継
後継者がいない企業が問題を解決する方法として、後継者を探すことが考えられます。
後継者候補としては、親族、役員、従業員、外部から招聘した者、などが考えられます。
また、後継者の育成には、通常5~10年程度の時間がかかりますので、早めに対策を打つ必要があります。
事業承継について、詳しくはこちらをご覧ください。
3. 株式公開
株式をIPO(新規上場)することも、後継者対策として考えられます。
IPOの最大のメリットは、株価の値上がりによる創業者利潤を得られるところにあります。
しかし、IPOのハードルは高く、中小企業においてはあまり現実的ではないかもしれません。
4. 廃業
後継者がいない場合、廃業をすることも選択肢の一つです。特に、小規模事業者や個人事業主では廃業する割合く、黒字廃業も多いようです。
廃業は、後継者問題の悩みがなくなりますし、短期間で手続きも終わる点ではメリットがあります。
しかし、従業員を解雇しなくてはならない、取引先に迷惑がかかるなどのデメリットもあり、地域経済に与えるダメージにもなります。
また、オーナーの手取りで考えると、廃業し事業を清算するよりも、M&Aを行った方がメリットは大きいものとなります。
廃業する前に、M&Aを検討することの価値は非常に大きいです。また、昨今、後継者対策においてM&Aを選択する企業は増加し続けている状況です。
M&Aについても、お気軽に当事務所にご相談下さい。