簡易裁判所での訴訟の独自ルール(特則)について司法書士が解説します。

今回は、簡易裁判所での訴訟の独自のルール(特則)と司法書士について、解説します。

簡易裁判所の特色と司法書士

簡易裁判所は、訴額が140万円以下の一般の民事訴訟や、支払督促、民事調停、少額訴訟や罰金刑以下の軽微な刑事訴訟を取り扱う裁判所です。

司法書士は、本来業務である裁判所提出書類の作成により簡易裁判所での本人訴訟を支援したり、140万円以下の民事事件については、弁護士同様、代理人として法定にて弁論したり裁判外で和解したりする業務を担っています。

また、民事訴訟法には、簡易裁判所の特色は、簡易な手続きにより迅速に紛争を解決することと規定されており、そのために様々な地方裁判所とは異なる独自のルールが設けられていますので、以下に解説をしていきたいと思います。

 

簡易裁判所における民事訴訟の独自ルール(特則)

口頭での訴えの提起

地方裁判所では、訴えの提起については、訴状という書面を提出する必要がありますが、簡易裁判所では、口頭での訴えの提起も認められています。

ただし、実際の実務の運用としては、簡易裁判所の窓口に訴状のフォーマットが用意されているので、それに必要事項を記載して提出するものとなっています。

司法書士が代理人として訴訟をする際は、訴状を作成して提出することが通常の取扱いであると思われます。

 

訴え提起の内容の特則(紛争の要点)

地方裁判所では、訴状に請求の原因を記載して、請求する権利の発生に必要な要件事実をしっかりと記載する必要がありますが、簡易裁判所では、請求の原因に代えて、紛争の要点を明らかにすることで足ります。

上記の口頭での訴えの提起と併せて、簡易迅速に訴訟を開始することができる制度設計になっています。

なお、司法書士が代理人として訴訟をする際は、訴状に必要十分な要件事実を記載することが通常かと思われます。

 

準備書面の省略

地方裁判所では、口頭弁論は書面で準備をして臨む必要がありますが、簡易裁判所では、書面で準備する必要がありません。

ただし、相手方が準備をしなければ、陳述をすることができないと認めるべき事項については、①書面で準備等をする必要がありますし

、②相手方が在廷していない口頭弁論では、準備書面に記載等したものでなければ主張できません。

以上のことから、司法書士が代理人として訴訟をする場合は、準備書面を提出することが通常かと思われます。

 

続行期日での陳述擬制

地方裁判所では、初回の口頭弁論期日に限って、原告又は被告のどちらか一方のみが欠席した際に、欠席者が提出した書面(訴状又は答弁書)の陳述が擬制されます。

一方、簡易裁判所では、初回のみならず、第2回目以降の口頭弁論期日においても、上記のような陳述擬制が認められます。

ですので、被告が全く出廷せずに判決を迎えるということも、しばしば起こりうるものとなります。

 

和解に代わる決定(分割払い等の特則)

簡易裁判所の独自ルールとして、①金銭の支払請求訴訟で、②被告が争ったり証拠を提示せず、③被告の資力等の事情を考慮し相当であると認められる場合、裁判官の決定により、債務の後払いや分割払いが認められます。

これは、本来、被告が出席して裁判上の和解をして分割払いを認められればいいところ、被告が出席できず和解ができない場合に、分割払いや後払いができるように配慮した特則規定になります。

簡易裁判所での債権回収では、この分割払いや後払いの決定が出る可能性を考慮しておく必要があります。

 

尋問に代わる書面の提出

地方裁判所では、証人又は当事者の尋問や鑑定人の意見の陳述は口頭で行われることが原則となりますが、簡易裁判所では、これらに代えて書面の提出をさせることができます。

簡単に言うと、主尋問と反対尋問の両方を書面で済ませてしまうような形となります。

 

司法委員

簡易裁判所の訴訟では、裁判官の隣に司法委員が着席している場合があります。

簡易裁判所は、必要があると認められるときは、和解を試みるについて司法委員に補助をさせ、又は司法委員を審理に立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる、という規定があります。

 

即決和解(訴え提起前の和解)

即決和解(訴え提起前の和解)は、民事上の争いのある当事者が、訴訟を提起する前に簡易裁判所に和解の申立てをして行います。

即決和解を利用するためには、当事者間の合意があり、かつ、簡易裁判所がその合意を相当と認めることが必要となります。

似たような制度に、強制執行認諾文言付の公正証書の利用がありますが、これは金銭の請求に限られるところ、即決和解は、建物の明渡しなどの金銭以外の請求について利用できます。

即決和解が成立すると、確定判決と同一の効力が生じ、債務の不履行がある場合は強制執行が可能となります。

なお、申立ては、民事上の争いがある場合に可能となるものである点は、要注意です。

 

以上、簡易裁判所の独自ルール(特則)について、解説しました。

簡易裁判所での訴訟の代理や本人訴訟支援については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。

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