住所をバレずに公正証書で差押え?!住所秘匿制度、書類送達場所届出の活用について解説

今回は、引越し前に作成した公正証書により債務者の財産を差押えする場合、住所を秘匿して差押えができるかどうかについて解説します。

想定Q&A(住所を秘匿して公正証書で差押え)

Q:以前付き合っていた男性との交際中に、100万円を貸して公正証書を作成しました。その後、その男性とは別れたのですが、しつこくつきまとわれる等してストーカー被害を受けました。

その後、私は現在の住所に引っ越して被害は収まりました。現住所をバレずに差押えをして、100万円を回収できますか?

 

A:住所、氏名等秘匿の制度の利用も考えられるところですが、差押申立書の住所を公正証書作成当時のものとし、書類の送達場所を弊所とすることで、事実上、住所を秘匿して差押えは可能です。

 

強制執行受諾文言付公正証書とは

公正証書に、

「第●条 甲は、第〇条の債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。」

などといった規定がある場合は、訴訟を経なくても、直ちに債務者の財産に対して強制執行(差押え等)をすることができます。

 

ただし、上記のような強制執行認諾条項付公正証書によって強制執行できるのは、「金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」に限られています(民事執行法22条)ので、要注意です。

 

執行文に債権者の住所は記載されるか

公正証書に基づいて、差押え等の強制執行を申し立てる場合、その公正証書には執行文の付与を受ける必要があります。

執行文には、債権者及び債務者の氏名は記載されますが、住所は記載されません。

 

 

差押申立書の債権者の住所を秘匿できるか

当事者目録の送達

差押申立書の一部である当事者目録には、債権者の住所を記載する必要があります。

この当事者目録は、差押命令書と一緒に債務者に送達されますので、債権者(申立人)の住所が債権者の知るところとなってしまいます。

 

住所、氏名等秘匿制度の活用

令和5年施行の民事訴訟法改正により、住所、氏名等秘匿の制度が創設されました。

これは、申立て等をする者又はその法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある、という要件を疎明した場合に、訴訟や強制執行において、住所を秘匿し、代わりに代替住所を記載することによって、手続きを進めることができるというものです。

 

今回の想定事例のケースでは、相談者様はストーカー被害に遭われていますので、それを疎明できれば、差押えの申立と併せて申し立てることにより、住所を秘匿することが可能と考えられます。

 

書類送達場所届出の活用

書類送達場所届出とは、訴訟や強制執行における、裁判所から送達される書類の受け取りについて、本人以外の者を別途指定しておくことができる制度です。

この書類送達場所の届出を上手く活用することによって、上記の住所氏名等秘匿制度を利用しなくても、住所を秘匿しつつ差押えの申し立てをすることができます。

具体的には、差押申立書の当事者目録には、公正証書に記載の債権者(申立人)の旧住所を記載し、書類送達場所を司法書士事務所として届けることによって、事実上、住所秘匿が可能となります。(案件毎に、裁判所書記官と協議はしておくべきかと思います。)

 

ただし、差押え後の第三債務者(金融機関等)に対する取り立てをする場合に、債権者(申立人)の住所の同一性に疑義が生じ、別途住民票や戸籍附票を提示する必要が生じる可能性がありますので、要注意です。

 

司法書士の裁判所提出書類作成権限での対応

司法書士に差押え手続きをご依頼される場合は、ご本人様名義の差押申立書等の裁判所提出書類の作成でのご対応となります。

どのような書類を作成するかについては、事前にご相談者様と十分な打ち合わせを経た上で決定し、手続きを進めることとなりますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

(裁判所提出書類作成は、司法書士法・弁護士法に定められた範囲内にて行います)

 

以上、引越し前の公正証書を利用して、住所を秘匿しつつ差押えをする方法について解説しました。

差押え等の強制執行(民事執行)の申立等の書類作成は、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー