今回は、登記申請手続き、つまり、土地や建物の名義変更や会社の設立や役員変更など会社の登記申請を行う先である法務局(登記所)について、解説します。
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登記手続きはどこで行うのか?法務局(登記所)について
登記という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
あまり認知度が高くない「登記」というものですが、不動産や会社の権利を守るために必要なもので、代表的なものを挙げると以下のような事項があります。
・土地や建物の所有者。その住所や取得日や取得原因(売買、相続、贈与など)なども登記されます。
・土地や建物に設定される抵当権、地役権、地上権、差押えなどの所有権以外の権利。
・土地の面積や地目、建物の種類、構造、床面積など
・会社の商号、本店所在地、役員、機関構成、株券の発行や譲渡制限に関する事項など
例えば、土地を売却した場合は、土地の所有者が変わりますから、法務局(登記所)に対して、所有権移転登記の申請をして登記名義人(所有者)を変更します。
他には、会社の役員が変更となった場合、法務局(登記所)に対して、変更登記の申請をして取締役や監査役などの役員の登記を変更します。
つまり、登記に何か変更があった際には、法務局(登記所)に対して、申請をして登記事項の書き換えをする必要があるということです。
法務局は、霞が関の法務本省の地方支分部局で、各地にあり、不動産登記や商業・法人登記事務を所掌としています。
法務局(登記所)の組織
法務局は、様々な事務を取り扱っていて、主には、不動産登記、商業登記、供託、後見登記、人権擁護、行政訴訟、動産・債権登記、各種証明書の発行などになります。
登記事項証明書や印鑑証明書などの各種証明書の発行、不動産登記については、ほぼすべての法務局、支局、出張所で取り扱っています。
供託や商業登記については、ある程度の規模がある法務局のみで取り扱っていて、小さな出張所では取り扱いがないケースが多いです。
特に商業登記は、法務局のマンパワーの問題等から、大規模庁が一括して管轄し、事務の集中が図られています。
登記所の内部構成についてですが、法務局には、登記事務を行う公務員である「登記官」がいて、申請された登記を審査し、登記の書入れを行っています。
また、供託については、「供託官」がいて、申請された供託を審査し、受け入れや払い戻しを行っています。
もちろん、登記官にもランクがあり、課長に相当する統括登記官や、法務局に幹部である主席登記官など、組織のヒエラルキーが存在します。
登記の管轄について
法務局の本局、各支局・出張所は、不動産登記の管轄を持っています。
例えば、大阪法務局池田出張所の場合、豊中市、箕面市、池田市、豊能郡に所在する不動産に関する登記を管轄しています。
大阪法務局北大阪支局の場合、吹田市,高槻市,茨木市,摂津市,三島郡島本町の不動産登記と、吹田市,高槻市,茨木市,摂津市,三島郡島本町,池田市,豊中市,箕面市,豊能郡(豊能町,能勢町)の商業・法人登記を管轄しています。
不動産登記や商業登記を申請する際には、どこの法務局に申請すればいいのか、管轄を確認することが必要です。
管轄について調べるには、「〇〇市 法務局 管轄」などでweb検索するのが、手っ取り早いです。
法務局は怖い?窓口対応と事前審査について
一昔前、法務局は、窓口対応の悪さで有名なお役所だったそうです。
ただ、筆者は平成15年から法務局に出入りしていますが、昔に比べて法務局の国民に対する対応や姿勢は、近年、随分と良くなった気がします。
けれども、一般の方からすると、どこか高圧的で親身になってくれない役所であるのは間違いないようです。
例えば、登記を司法書士に依頼せずに自分でやろうとすると、法務局の登記官に何度も書類の不備を何度も指摘されて、心が折れるという話も耳にします。
また、法務局の扱う登記事務は、戦前は裁判所が取り扱っていたという歴史があり、その影響なのか、登記申請というのは事前審査には応じてくれません。
以上のような事情から、登記を自分でするというのは、非常に大変でストレスもかかりますし、失敗すると取り返しがつきませんので、司法書士にご依頼されることを強くお勧めします。
法務局と司法書士
法務局は、司法書士に関する事務も所掌しており、司法書士の懲戒については法務大臣が行うこととなっています。
また、法務局の登記官は、ある程度の役職についてから10年勤務すると、簡単な内部試験を経て司法書士の資格を貰うことができます。
こういった司法書士のことを特認司法書士と呼んだりします。
長年法務局にお勤めになっていたことから、登記事務の運用などについてはとても詳しい方が多いようです。
一方で、裁判業務や成年後見業務、M&Aなど、法務局の事務と関係ない司法書士の仕事については、あまり明るくない方が多いのかもしれませんね。
また、司法書士が簡易裁判所での訴訟代理を扱うためには、認定考査という試験を突破しなければならないのですが、特認の方はこの試験の受験には熱心ではないようです。
もちろん、合格率3%の難関試験である司法書士試験を突破した試験組は、特認組よりもずっと優秀な方達ばかりだと、私は思っています。
以上、法務局について、色々と解説させて頂きました。
法務局が管轄する、不動産登記や商業・法人登記、供託などについては、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。