中小企業M&Aにおいては、大多数のディールは株式譲渡の方法で進むこととなります。
少数ですが、事業譲渡や第三者割当増資、合併の方法によることもあります。ディールが最終局面を迎え、最終契約書を締結すると、売手及び買手において準備を進め、譲渡日を迎えるとクロージングをすることになります。
クロージング前に行う商業登記申請等の法的手続き
最終契約書における譲渡前の義務条項により、買手サイド又は売手サイドで商業登記申請をして、クロージングの準備をする場合があります。
典型的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 対象会社を株券不発行会社に移行し、株券を発行する旨の定めの廃止の登記を申請
- 対象会社を株券発行会社に移行し、株券を発行する旨の定めを設定する登記を申請
- 対象会社の株式の一部について行う、自己株の取得(株の消却をする場合は、登記申請)
- 株主の信頼性を高めるための、実質的支配者リストの取得申請
- 会社の統治をコントロールするための、種類株式の発行及び登記申請
- 事前に行う必要がある場合の、役員変更や機関変更
- 譲渡対象となる会社を切り出す会社分割手続き及び登記申請
- 株式譲渡の受け皿となるSPCの設立登記申請
- スクイーズアウトによる株の併合と発行済株式総数の変更登記
クロージング後に行う商業登記申請等の法的手続き
最終契約に定めたクロージング条件を充足すると、案件は、資金決済であるクロージングを行いM&Aを実行することとなります。
このクロージング及びクロージング後には、様々な商業登記申請を伴うこととなります。典型的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 旧役員の辞任及び新役員の就任登記
- 取締役会及び監査役などの設置又は廃止の登記
- 機関変更に伴う、株式の譲渡制限に関する規定の変更
- M&Aに伴う本店移転の登記
- M&Aに伴う商号変更の登記
- 株式交換の手続き及び登記
- 合併の手続き及び登記
- 第三者割当による増資の手続き及び登記
- LBOによるSPCの合併の登記
上記のように、M&Aのスキームの実行においては、様々な商業登記申請が必要となってきます。
M&Aにおける商業登記申請は、ただ単に法務局に手続きを取ればいいというものではなく、そのスキームがどのような理由で採用されたのか、スキームが適法に実施できるのかという観点からの検証が必須となります。
M&Aに伴う商業登記申請等の法的手続きについては、M&A800件関与の実績を持つ、弊所の司法書士にご相談ください。