遠方の債権回収(債務承認弁済契約)はオンラインでの公正証書作成で可能。方法を解説します。

 今回は、お金を貸した相手方が遠方の場合の債権回収における、オンラインでの債務承認弁済契約公正証書の締結について解説します。

 

「貸したお金を返してもらいたいが、相手が遠方に住んでいる」「話し合いはついているが、確実に回収できる保証がほしい」といったお悩みをお持ちではありませんか?

これまでの債権回収は、相手方の住所地まで赴くか、郵送でのやり取りに限界を感じるケースが多くありました。しかし、現在は手続きのデジタル化が進み、「公正証書」の作成もオンラインで完結できるようになっています。

本記事では、司法書士の業務範囲から、遠方の相手との債権回収を円滑に進める「オンライン公正証書」の活用法まで詳しく解説します。

 


1.債権回収のご依頼と司法書士の業務範囲

債権回収を司法書士に依頼する際、まず確認すべきなのが「司法書士が代理人としてどこまで動けるか」という点です。これは、案件に「紛争性」があるかどうかで大きく分かれます。

⑴ 紛争性がある場合

相手が「借りた覚えはない」「金額が違う」と主張している、あるいは支払いを明確に拒絶している状態を指します。

  • 140万円以下の請求: 認定司法書士であれば、簡易裁判所の訴訟代理権があるため、代理人として交渉や訴訟を行うことが可能です。

  • 140万円を超える請求: 司法書士が代理人として交渉することはできません。この場合は弁護士の職務領域となります。ただし、裁判所に提出する書類の作成(本人訴訟のサポート)という形での支援は可能です。

 

⑵ 紛争性がない場合

相手が借金を認め、「返したいが今は一括では払えない」「分割なら支払える」と合意が取れている状態です。

この場合、司法書士は「書面作成の専門家」として、合意内容を法的に強固な書面(債務承認弁済契約書や公正証書)にまとめる業務をサポートします。この段階で適切な書面を作っておくことが、将来の紛争を未然に防ぐ「予防法務」の核心となります。

 


2.相手が遠方の場合の債権回収の解決方法

相手が遠方に住んでいる場合、直接会って交渉や契約を行うのは時間的・金銭的なコストが無視できません。

⑴ 紛争性がある場合

簡易裁判所での訴訟(140万円以下)であれば、電話会議システムやWeb会議システムを利用した民事訴訟手続きが普及しています。司法書士は事務所にいながら、遠方の裁判所とやり取りを行うことが可能です。

 

⑵ 紛争性がない場合

合意ができているのであれば、「オンラインでの公正証書作成」が最も有効な解決策となります。これまでは公証役場へ当事者が出向く必要がありましたが、現在はWeb会議システム(Teams等)を利用した嘱託が可能になり、全国どこからでも手続きが進められるようになりました。

 


3.債務承認弁済契約とは

債務承認弁済契約とは、一言で言えば「借金があることを認め、その支払い方法を約束する契約」のことです。

通常、金銭の貸し借りの際には「金銭消費貸借契約」を結びますが、返済が滞った後や、当初契約書を作っていなかった場合に改めて結び直すのがこの契約です。 主な記載内容は以下の通りです。

  • 債務の額(元本、利息、遅延損害金)

  • 返済方法(一括か、分割か)

  • 期限の利益喪失条項(支払いが遅れた場合、残金を一括で支払わなければならないというルール)

  • 連帯保証人に関する事項

この契約を締結することで、時効の中断(更新)という法的効果も得られます。

 


4.公正証書にするメリット

債務承認弁済契約は私文書(個人間の契約書)でも有効ですが、「公正証書」にすることには計り知れないメリットがあります。

  1. 強制執行認諾条項(執行力): 最大のメリットです。「支払いが滞ったら、直ちに強制執行を受けても異議ありません」という文言を入れることで、裁判を起こさなくても相手の給与や銀行口座を差し押さえることが可能になります。

  2. 高い証拠力と信頼性: 法律の専門家である公証人が作成するため、内容の正確性が担保され、後から「そんな契約はしていない」といった言い逃れができなくなります。

  3. 心理的強制力: 「公的な書類を作った」という事実が相手に心理的なプレッシャーを与え、任意での支払いを継続させる効果(未払い防止)が期待できます。

 


5.オンラインでの公正証書作成の手順

令和7年10月1日より、公正証書(債務承認弁済契約など)のオンライン作成が可能となりました。当事者が遠方の場合でも、司法書士のサポートのもとで手続きが完結します。

オンラインでの公正証書作成の要件

 リモート方式の利用ができるのは、
①嘱託人の申出があること
②通訳人、証人のみのウェブ会議での参加を除き、他の嘱託人の異議がないこと
③公証人が相当と認めること

の全ての要件が満たされた場合です。この点、注意が必要です。

 

手順1:司法書士による案文作成

まずは当事務所で当事者様のご意向・合意事項をヒアリングし、法的に不備のない「債務承認弁済契約」の案文を作成します

 

手順2:公証役場との打ち合わせ・委任状の提出

司法書士が公証人と連絡を取り、電子公正証書の作成準備を整えます。この際、当事者の本人確認書類(免許証又はマイナンバーカード等)をデータで提出します。

なお、紛争性がない・収束した又は紛争が140万円以下のケースでは、ご依頼者様(債権者)から委任状を頂くことによって、司法書士が代理人としてWebでの公正証書作成に参加することも可能です。

この場合、ご依頼者様からは、公正証書を合綴した委任状と印鑑証明書を頂き、公証役場に提出することとなります。

 

手順3:Web会議による本人確認と署名

指定された日時に、公証人、債権者(の代理人司法書士)、債務者をWeb会議システム(teams)でつなぎます。

  • 公証人が内容を読み上げ、本人確認を行います。

  • 当事者は、ペンタブレットをPCに接続して、画面越しに署名を行います。

この場合、相手方(債務者)はリアルに公証役場に出頭する場合もあります。オンラインでWeb会議に参加する場合は、印鑑証明書又は電子署名・電子証明書の添付された公正証書作成嘱託書等(紙又はPDFで公正証書案文を合綴したもの)を事前に提出することとなります。

※債務者(相手方)の最寄りの公証役場を指定しておき、債務者にはリアルに出頭して貰うやり方であれば、印鑑証明書又は電子署名・電子証明書添付の嘱託が不要となるため、簡便で分かりやすいと思います。(債務者は、出頭の際に、身分証明書の原本だけ持参すれば手続き可能となるためです。)

 

手順4:電子公正証書の保管

完成した公正証書は電子データとして保管されます。必要に応じて、正本(強制執行に使うもの)を郵送で受け取ることが可能です。

 


まとめ

相手が遠方にいるからといって、債権回収を諦める必要はありません。司法書士を介して「オンライン公正証書」を作成すれば、現地に赴く手間を省きつつ、裁判なしで差し押さえができる強力な武器を手にすることができます。

「相手と連絡はつくが、支払いが滞っていて不安だ」という方は、まずは当事務所へご相談ください。状況に応じた最適な法的手段をご提案いたします。

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