司法書士の存在意義は?司法書士の裁判業務の存在意義は?

今回は、司法書士の存在意義、司法書士による裁判業務の存在意義について、考えを述べたいと思います。

 

弁護士という存在

司法書士の存在意義を考えるとき、絶対に避けることができないのが弁護士という存在です。

なぜなら、現在の弁護士法において、弁護士は訴訟代理や和解、鑑定などによる事件(=紛争)の解決だけでなく、その他一般の法律事務を扱う権限が認められているからです。

 

弁護士は、弁護士であるというだけで、当然に税理士や弁理士の業務も行う事ができると弁護士法に規定されていますし、判例で登記申請も当然に行うことができるとされています。

さらに、社労士や行政書士や海事代理士の仕事も当然に行うことができると解されているのです。

いわば、弁護士は法律事務のオールマイティ職であるという訳です。

 

一方、司法書士は、司法書士法に定める登記、供託、裁判所提出書類作成、簡裁訴訟代理、財産管理など、その職域は限定的です。

自虐的な表現になりますが、司法書士にできて弁護士にできないことは、法的な権限上は、ないのです。

 

司法書士の存在意義とは

小泉政権時代に、司法制度改革が行われ、弁護士の数は今日に至るまで増加し続けてきました。

一昔前は、弁護士よりも司法書士の数が多かったのですが、今や逆転し、司法書士2万人ほどに対して、弁護士は4万人ほど存在するのです。

 

司法書士の仕事を包含した弁護士という存在が激増した現在、司法書士に存在意義はあるのでしょうか。

私の答えは、ある、です。

 

明治時代に、司法書士と弁護士は、同時に世の中に誕生しました。

その時は、司法書士は訴状を作る職能、弁護士は法廷で弁論する職能として、裁判を分業することが想定されていました。

その後、弁護士が、訴訟業務を独占し、全ての法律事務を扱える権限を与えられたのに対して、司法書士は、裁判所や検察に提出する書類の作成権限しか与えられなかったという歴史があります。

そして、戦前は、登記事務は裁判所の管轄でしたので、司法書士はその中心業務を登記業務に据えていくことになりました。

 

歴史的に見て、登記業務に関しては、司法書士がその制度を支えてきており、弁護士にはできないレベルで完璧にこなすことができます。

現在の司法書士試験においても、科目に不動産登記法、商業登記法があり、相当複雑な登記申請を処理する書式の問題が出題されていることからも、司法書士は登記に関しては、弁護士にはない能力担保がなされています。

 

まさに、登記業務は、司法書士のアイデンティティとも言えるでしょう。そして、弁護士さんの多くも、司法書士の登記業務については、弁護士にはできない専門性があると認めてくれていると感じています。

(弁護士さんの中には、弁護士と司法書士の違いは、病院でいうところの科の違いと同じ、と言ってくれる方もいました。)

 

司法書士の裁判業務の存在意義

では、司法書士の裁判業務に、存在意義はあるのでしょうか?

裁判の専門家である弁護士が激増した今、司法書士の裁判業務はもはや不要なのでしょうか?

 

私の答えは、司法書士の裁判業務に存在意義は、ある、です。

 

確かに、弁護士は訴訟のプロであり、訴訟に関しては司法書士よりも能力が高いというのは、誰しもが思うところです。

しかしながら、弁護士に訴訟を依頼した場合、多額の報酬を支払う必要があります。これが、弁護士の泣き所だと私は考えます。

 

また、統計的に見て、地方裁判所では原告に弁護士が付く割合というのは相当高いですが、被告に関しては、かなりの割合の数が本人訴訟で対応しているという実態もあります。

これは、被告側では、報酬が取りづらく案件としてペイしないと考える弁護士が多いことを示していると思います。

 

現に、弊所に来る訴訟の相談に関しても、訴額が少額であるため弁護士が受任してくれなかったとか、弁護士費用が払えないから司法書士の本人訴訟支援を期待して相談している、といった方がいらっしゃいました。

 

弁護士業だって、商売であることに変わりはないのです。

弁護士によっては、訴訟の着手金は最低20~30万円からでないと、事務所経営に支障を来すというところさえあります。

つまりこれは、訴額が140万円以下である簡易裁判所の案件などはやらない、ということを意味しています。

 

一方で司法書士はどうでしょうか。

弁護士の時間単価が3~5万円であるのに対して、司法書士の時間単価は1~2万円なのです。

つまり、簡易裁判所の事件を代理しても、司法書士なら何とかペイすることができます。

また、司法書士の本人訴訟支援は、書類を作成が作業の大半であり、書類1枚5000円~であるため、依頼者は相当にリーズナブルに訴訟の支援を受けることができますし、司法書士としては、時間単価が弁護士ほど高くないため、仕事としてなんとかペイするのです。

 

司法書士がやるような、簡易裁判所の訴訟代理や書類作成による本人訴訟支援は、弁護士さんから見れば、報酬が安すぎて「できない」のです。

でも、司法書士なら、なんとかできる、私はそう考えますし、弊所は積極的に訴訟業務に取り組んでいます。

 

まさに、司法書士の訴訟業務は、弁護士による司法の救済の光が当たらないところに光を当てる、そんな業務だと私は身をもって感じています。

 

現在は改善はしてきているものの、司法制度改革の時に言われたような、弁護士は都市部に偏在しているが、司法書士は全国に遍く存在していることからも、やはり同じことが言えると思います。

 

もちろん、少額な訴訟を手掛ける弁護士さんも中にはいらっしゃるとは思います。

けれども、我々司法書士も、少額な訴訟や本人訴訟支援というところで、もっと活躍すべきではないかと私は考えているのです。

 

簡易裁判所での訴訟代理や本人訴訟支援は、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー