遺産を譲る代わりにして欲しい事!負担付きの遺言について解説します!

今回は、負担付きの「相続させる」旨の遺言や、負担付遺贈について解説します。

 

負担付きの遺言とは

負担付きの遺言について

相続の生前対策として、遺言を作成するというのはスタンダードな方法で、近年、遺言の作成件数は右肩上がりに増加しています。

生前対策と遺言については、こちらをご覧下さい。

 

遺言者の特定の遺産を指定の相続人に承継させる「相続させる」旨の遺言や、遺言による贈与である遺贈によって、自らの遺産を希望の者に承継させるという遺志の実現が、遺言では可能です。

しかし、一方では、遺産を承継させた者に、遺産を受け取る代わりに果たして欲しい事の義務付けを行いたいケースも多いでしょう。

そのような際には、「相続させる旨」の遺言や遺贈を、負担付きとする方法が考えられます。

 

負担付遺贈や負担付の「相続させる」旨の遺言では、遺産を取得させる代わりに、様々な義務を取得者に義務付けることとなります。

以下、事例に分けて、負担付きの遺言を活用するケースを解説していきます。

 

想定事例1 母の扶養を負担させる遺言

がんを患い余命がわずかとなったAさんは、後に残される妻Bのことが心配です。子供は長男Cと次男Dがいますが、Dは遠方で就職していて、頼れるのは地元に残った長男Cだけです。

そこで遺言を作成し、遺産の大部分は長男Cに相続させる一方で、その負担として、CはBと同居し扶養すること、及びBが老人ホーム等の施設に入居する必要が生じた場合は、Bの同意を得て入所させ、その施設費等を負担することをCに義務付けました。

 

想定事例2 住宅ローンの引き受けの負担付きの遺言

住宅ローンで自宅の土地建物を購入して所有しているXさん。住宅ローンは、まだ15年分以上残っている状態ですが、余命が長くない可能性があり、遺言を作成することにしました。

Xさんには、妻Y、長男E、長女Fがいます。Fは遠方に嫁いでいるため、自宅はEに相続させる代わりに、住宅ローンもEだけに負担させることを義務付けました。

 

想定事例3 ペットの飼育を負担とする遺贈

甲さんには、長年可愛がってきた飼い犬のプリンちゃんがいます。甲さんは、自らの余命が長くないことを知って、遺言を作成することにしました。

唯一の遺産である500万円の預金を知人の乙に遺贈する代わりに、プリンちゃんを愛情をもって飼育するという負担を付け、乙に義務付けることとしました。

 

負担付きの遺言の効力

条件との違い

負担付き遺言の負担は、条件ではないため、負担を履行することは、遺贈や「相続させる」旨の遺言の効力発生要件とはなりません。

もし、果たして欲しい義務が履行されて初めて、遺産を取得させるという条件関係にしたいのであれば、遺言で条件関係であることを明確に記載すべきでしょう。

 

負担が履行されない場合は

負担付遺贈については、民法1027条に負担が履行されない場合に関する規定があります。

負担の履行義務者である受遺者が負担を履行しない場合は、相続人は相当の期間を定めて履行を催促することができます。

そして、この催告期間内に負担の履行がない場合は、家庭裁判所に対して、当該負担付遺贈に係る遺言の取り消しを請求することができます。

上記は、遺言に関する規定ですが、「相続させる」旨の遺言についても、類推適用されるとする説が多数のようです。

 

負担付きの遺言以外の方法

上記の負担付き遺言による方法以外にも、民事信託を活用する方法があります。民事信託については、こちらです。

ケースバイケースで、負担付遺言がいいのか、民事信託がいいのか、判断が分かれるところになります。

また、令和2年の4月からは、配偶者居住権の制度がスタートしますので、これを利用する方法も考えられるでしょう。

 

いずれにせよ、専門的な判断が必要となりますので、負担付きの遺言や家族信託については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

 

 

 

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