この7月1日に相続法改正の大部分が施行になっています。今回は、改正の中から遺留分の話をしてみたいと思います。
遺留分とは
そもそも、遺留分って何?という方が多いと思いますので、遺留分の基本から説明します。
簡単に言うと、遺留分と言うのは、相続人に最低限保証されている相続財産の取り分のことです。
配偶者、子供等(直系卑属)、親等(直系尊属)には、その相続分の1/2が遺留分として認められます。(ただし、直系尊属のみが相続人となる時は、相続分の1/3)
相続人となる兄弟姉妹については、遺留分がありません。
故人によって、その死亡前1年以内の生前贈与、遺贈(遺言による贈与)、そして特別受益に該当する生前贈与が行われた結果、上記の遺留分が侵害される場合、改正前の民法では、遺留分権利者は、これらの贈与等を受け取った者に遺留分減殺請求を行うことができました。
しかし、この遺留分減殺請求が行われた結果、贈与等がされた財産が、受贈者等と遺留分権者との共有になるため、色々と問題が生じていました。
民法改正による遺留分侵害額請求権への変更
そこで、今回の改正が行われた結果、遺留分減殺請求は廃止され、遺留分侵害額請求が創設されました。
これは、遺留分を侵害した場合は、その額に応じた金銭の支払請求権のみを認め、共有状態が生じることを回避するものです。
具体的な想定例を出しますと、例えば亡くなったAさんが、生前に密かに恋していたB子ちゃんに全財産である甲土地(2000万円相当)を遺贈したとします。
Aさんの唯一の相続人である妻のCさんが、それを知ってカンカンに怒って、B子ちゃんに遺留分減殺請求した場合、旧民法だと、甲土地は1/2C、1/2B子の共有となります。
共有物の処分は共有者全員の同意が必要となりますから、揉めない訳はありませんよね。
今回の改正で、上記のような共有にはならず、CさんがB子ちゃんに対して侵害額相当(1000万円)の金銭支払請求権を行使することになりますから、必要以上の紛争は防止されることとなります。
けれども、そもそも遺留分を侵害するような遺言をすること自体に問題があります。無用な紛争が生じてしまいますから。
遺言を作成する際には、遺留分に十分注意しましょう。
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