妻の取り分が増える?居住用不動産の持戻し免除について説明します!

令和元年7月1日から相続に関する民法の規定の改正が施行となります。
相続法は38年ぶりに大改正され、その内容も多岐に渡るのですが、今回は夫婦間の居住用不動産の贈与又は遺贈に関する改正について、解説したいと思います。

民法改正による持戻し免除の意思表示の推定

結論だけ申し上げますと、婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与については、持戻しの免除の意思表示が推定されることになりました。
これだけだと、何のことか分からないと思いますので、順を追って説明します。

 

想定事例

想定事例:Aさんは昭和55年に妻と結婚した。Aさんが亡くなり、相続人は妻と長男と次男。遺産は、預貯金3000万円のみ。
妻は、夫婦で居住していた自宅不動産(2000万円)について、Aさんからの生前贈与を受けていた。

 

改正前民法が適用される場合

上記の事例を改正前民法で考えてみます。

まず、相続財産(遺産)が何になるかですが、預貯金の3000万円が該当することは良さそうです。

問題は自宅不動産ですが、Aさんが、遺産分割協議の際に、この自宅不動産を相続財産に含めないという意思表示(=持戻し免除の意思表示)を特にしていなければ、生前贈与は特別受益となりますので持戻しを行って、(みなし)相続財産は5000万円ということになります。

 

5000万円分を法定相続分で分けると、妻が2500万円、長男が1250万円、次男が1250万円となります。

妻は、生前に自宅不動産(2000万円)をもらっているので、預貯金から差額の500万円をもらいます。そして、長男と次男が預貯金からそれぞれ1250万円ずつもらいます。

これだと、妻がもらえる預貯金は500万円と少なく、妻の生活保障等の観点から問題があると考えられ、今回の法改正が行われました。

 

改正民法が適用される場合

上記の事例を改正民法で考えてみます。

改正民法では、持戻しの免除の意思表示が推定されます。つまり、Aさんが(推定に反する)特段の意思表示をしていなければ、自宅不動産を(みなし)相続財産に含めず(=特別受益による持戻しを免除する)、相続財産は預貯金3000万円だけとして遺産分割協議を行うこととなります。

すると、預貯金については、妻が1500万円、長男が750万円、次男が750万円をそれぞれ相続することとなります。自宅不動産は、そのままで大丈夫です。
改正前より、改正後の方が妻の取り分が増えていますね。これが、今回の改正の狙いとなります。

 

次回も、相続法の改正について、解説したいと思います。引き続きよろしくお願い致します。

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