古くなってしまった抵当権抹消書類で登記申請ができるのか?

皆様、こんにちは。司法書士の藤田純平です。

今回は、住宅ローン等の金融機関からの借り入れを完済した際に受け取る抵当権抹消登記書類が古くなった場合の登記の可否について、解説します。

 

抵当権抹消書類が古くなってしまった

金融機関から融資を受ける際に、不動産を所有している場合には、抵当権や根抵当権を設定することは多く行われています。

そして、借り入れを完済した際には、金融機関から抵当権の抹消書類を受け取ることとなります。

しかし、すぐに抵当権抹消登記を申請せずに、放置してしまうということが、しばしば起こります。

古くなってしまった抵当権抹消書類を使って、登記申請をすることはできるのでしょうか?

 

金融機関から受領した書類は

金融機関からの借入完済時には、抵当権抹消登記に必要な書類として、以下のものを受領していると考えられます。

・解除証書又は放棄証書等

・抵当権設定の登記識別情報又は登記済証

・登記事項証明書等の会社等法人番号が分かるもの

・金融機関からの委任状

以下、受領した書類ごとに、古くなっても使えるのかどうかについて、解説していきます。

 

古くなっても使える書類、使えない書類

解除証書又は放棄証書等

完済時に受領したものには、完済当時の金融機関の代表者の記名押印がなされています。

現在、代表者が既に交代してしまっていたとしても、解除又は放棄等の効力に影響は有りませんから、当時の書類をそのまま使うことができます。

 

抵当権設定の登記識別情報又は登記済証

完済から相当な年数が経過したとしても、原則として、影響は有りませんのでそのまま使うことができます。

ただし、完済による書類の受領後に、金融機関が合併などをしている場合には、新会社に抵当権移転登記がなされていることとなります。

その場合には、抵当権移転により発行される登記識別情報等が必要となりますので、追加で入手する必要があります。

 

登記事項証明書等の会社法人等番号が分かるもの

完済時に受領した書類に記載されている会社法人等番号は、原則としては、そのまま使うことができます。

ただし、平成24年5月21日以前においては、本店移転や組織変更により管轄の登記所が変更となる場合には、会社法人等番号も変更となっていました。

完済が平成24年5月21日よりも前である場合は、会社法人等番号が古くなっている可能性がなくはないので、ご注意ください。

 

金融機関からの委任状

委任状には、完済当時の金融機関の代表者の記名押印がなされています。けれども、書類を数年放置したことにより、現在は代表者が変わってしまっているということは、しばしば起こります。

また、金融機関が合併により消滅し、現在は違う金融機関に承継されているということも起こり得ます。

そのような場合、過去に発行された委任状は、有効なのでしょうか?

 

民法の規定によると、委任は、当事者の死亡又は破産等により終了するとされています。

上記のケースでは、金融機関が合併により吸収されたということは、死亡に準ずるところと考えられます。

また、代表者の交代が、委任の終了事由になるかどうかについて、民法に明確な規定はありませんが、終了事由となる可能性はあると思われるところです。

となると、金融機関や代表者が異なる古い委任状は、登記申請には使えないということになりそうですが、不動産登記法には例外規定があります。

 

不動産登記法第17条には、登記代理人の代理権は、本人の死亡、合併による消滅などによっては、消滅しない、と規定されています。

また、法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更によっても、登記の代理権は消滅しないと規定されていて、先例によると、ここで言う法定代理人には、法人の代表者を含むものとされています。

 

つまり、委任状については、古くなっていたとしても、通常、そのまま使えるということになります。

 

登記申請書の書き方

完済から抹消登記申請までの間に、金融機関の代表者が変更となっている場合、抹消登記の申請書の登記義務者欄には、現在の代表者を記載することとなります。

また、各法務局によって運用が異なるところかとは思いますが、申請書には、旧代表者の任期を記載して、現在の代表者に交代している旨を記載する必要があります。

 

完済した際に抹消書類を受領はしたけれど、放置して古くなってしまったという場合の抵当権抹消登記については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談下さい。

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